「膝が痛い人はスクワットをやってはいけない?」 ──お尻を使う正しいフォームと重心の考え方を解説

こんにちは。
愛知県豊明市にある、HK LABOの服部 耕平です。
現在までに整形外科専門病院、デイサービス、トレーナー活動で様々な痛みでお困りの方の施術をさせて頂きました。
姿勢や歩き方などの動作から一人一人の方の痛みに合わせた治療をおこなっております。
Contents
はじめに
今回はスクワットについての解説をしていきたいと思います。
スクワットはトレーニングの中でも王道中の王道で、トレーニングをやったことがある方の、
ほとんどの人が一度はやったことがあるのではないでしょうか。
それぐらい基本のトレーニングになります。
ただその中でも目的に合ったスクワットが出来ている人はごく一部だと思います。
HK LABOに来られる方の中にもトレーニングの経験者や現在進行形でトレーニングをされている方もみえます。
しかし、その中でも目的に合ったスクワットが出来ている方はほとんどいません。
この目的というのは人それぞれあると思いますが、
HK LABOに来られる方のほとんどの方がお尻に効かせたいと言われます。
個人的には正しいスクワットというのは定義もなく存在しないと思っています。
スクワットはいろんなやり方があってどれが間違っているとか正しい
というわけではなく効かせる部位が違うだけなので、
太ももの前に効かせたい人はそういったスクワットが必要ですし、
太もも裏のハムストリングスに効かせたい人はまた違ったスクワットのフォームになります。
どれが間違った正しいという事はありません。
ただお尻に効かせたいのに太ももの前に効いていたり、
膝が痛いのに膝に負担がかかるスクワットをしている場合は、
フォームの修正をする必要があります。
逆にうまくその人の目的に合ったフォームでスクワットをすることで筋トレにもなりますし、
運動学習による治療やリハビリとなって痛みの軽減も出来ます。
なので、今回は膝の痛みがある人はどういったスクワットをしたらいいのか、
という部分に焦点を合てて、お尻に効くスクワットの解説をしたいと思います。
なぜお尻に効かせたいのか
ここでなぜお尻に効かせたいのかという事を説明していきます。
まず前提として膝の痛みがある人という事がありますが、
膝の痛みのある方の大半の人は膝、もしくは膝周囲の筋肉を使いすぎになっています。
これは言い方を変えると他の部分がうまく使えていないという事になります。
本来であれば足首や股関節も一緒に使って歩いたり、階段を上ったりしゃがんだりという日常生活の動きをするはずが、
膝の痛みを抱えている人たちはどの動きも膝を使って動作をしようとします。
そのままだと膝に負担がかかるのはイメージ出来るかと思います。
それが長年にわたって体が覚えてしまっているので、それを改善する必要があります。
さらにお尻というのは大きな筋肉で本来大きな力を発揮する筋肉でもあります。
なので、このお尻に筋肉を使わずに日常の動作を行う事はとてももったいないです。
そしてお尻が使えるようになれば膝が頑張りすぎなくて済むので、痛みや疲労感は減るという事です。。
どうやってスクワットをやればいいのか
では、実際にどのようにスクワットをするのか。
膝は前に出していいの?出さないの?
まずスクワットをする時にだれもが通る道。
膝は前に出してもいいのか、出さない方が良いのか。
これはいろんな考え方があります。
しかし、今回のテーマでは僕の答えは決まっています。
膝は出しません。
先ほどの言ったように膝の痛みがある人のほとんどの人が
膝の使い過ぎです。
これはなぜ起こるかというと膝をよく動かすからですね。
やってみると分かると思いますが、
膝を前に出してスクワットの姿勢で空気椅子のようにキープをすると太ももが疲れてくると思います。
これは少し膝を曲げる事で重力によって膝には曲がる力がかかります。
それを止めるために大腿四頭筋と呼ばれる太ももの筋肉が使われるという事です。
なので膝に関しては大切なのはスネの骨に支えてもらうという事になります。
骨で支えるためにはスネのは地面に直立した位置から動かさないことが大事になります。
これによってスネの骨で支えられるので太ももの筋肉は過剰に働かなくて済むという事です。
つまり、今回の場合は膝を前に出さずにスネの上に乗せた状態で動かさない方が良いという事になります。
身体は前傾させる?直立で良い?
では身体の傾きはどうしたらいいのか。
これも答えは前傾させます。
しかも、一般の方が思っているよりも前傾させます。
それはなぜかというと、お尻の筋肉は身体が前に倒れそうになるのを止めてくれる筋肉だからです。
なのでます身体は前傾させます。
そして、身体は前傾と言ってもどこで前傾させるのかという事も重要です。
これは股関節を曲げて前傾させます。
これは腰を丸くしても前傾っぽい姿勢にはなりますが、それではお尻ではなく腰の筋肉に負担がかかり
腰痛の原因になったりします。
あくまでも股関節の使い方の修正をしていきたいのでこれは股関節を曲げて前傾姿勢を作っていきます。
どれくらい前傾させたらいいの?
さらにどれくらい前傾させたらいいのかという事ですが、これは下半身と上半身の質量中心を考える必要があります。
どこに重心があるのかという事ですね。
下半身の重心というのは太ももの中央(よりやや上)にあると言われています。
上半身の質量中心は第7~9胸椎の高さにあると言われています。
分かりやすく言うとみぞおちのあたりになります。
お尻の殿筋を働かせるにはこの上半身の質量中心が下半身の質量中心よりも前に来る必要があります。
それによって体を前に倒れる力が働くので殿筋を使いやすくなります。
逆に上半身質量中心が後ろにある状態では身体には後ろに倒れる力が働くので、
これもやはり太ももの前に四頭筋が働きやすくなり膝の痛みに繋がりやすくなります。
そして、最初にも言ったように殿筋が使えるようになれば膝の負担が減るため、
痛みの軽減や改善につながります。
痛みのない方でも単純に殿筋は力のある筋肉になるので、
最近、「床から立ち上がるのが辛くなってきた」「階段が大変になってきた」
という方も殿筋が使えるようになることで以前よりも楽に動けるようになるはずです。
スクワットをやることで日常の動きも変わるのか
では、歩行時の痛みでも軽減、改善されるのか。
これはされます。
スクワットで股関節の使い方を身体、脳が覚えれば日常のどのような動きでも以前よりは股関節を使うようになります。
それが出来るまでは反復練習しかないですが、
今まで無意識で膝を使っていたのはその動きの反復があって体と脳が覚えたからになります。
それを無意識でも股関節が動くくらい反復して覚えれば、日常の動きが変わります。
(これに関しては小脳の話になるので詳しくはまた別の記事を書こうと思います。)
それによって痛みの軽減や改善も期待できるので、まずは今日の内容をコツコツと反復して、
慣れてきたらご自宅にあるもの(鞄や飲み物でも)を持ってスクワットをやって、少しずつ負荷を増やしてみて下さい。
それによって日常でも負荷がかかった時にも股関節が使えるようになってきます。
最後に
今回は膝の痛みのある人はどのようなスクワットをやったらいいのかという事を身体の質量中心の話を入れながら説明しました。
頑張ってスクワットやっているけど痛みが変わらないとか、日常で体が重く感じているなどの悩みがある方は一度試してみて下さい。
スクワットはやってマイナスになることはよっぽどないです。
なので、運動を始めたいと思われている方にもおすすめなのでぜひこのやり方で一度やってみて下さい。
本日も最後までお読み頂きありがとうございました
柔道整復師 服部 耕平