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歩いた時の太もも外側の痛み・痺れでお困りの方へ。

こんにちは。

愛知県豊明市にある、HK LABOの服部 耕平です。

現在までに整形外科専門病院、デイサービス、トレーナー活動で様々な痛みでお困りの方の施術をさせて頂きました。

姿勢や歩き方などの動作から一人一人の方の痛みに合わせた治療をおこなっております。

 

今回は太ももの外側の痛み、痺れについて書いていきたいと思います。

 

☑ 歩くと太ももの外側が痛くなる。

☑ 長時間立っていると太ももの外側が痛くなる。

☑ 立ち上がるの時に太ももの外側に痛みが走る。

 

このような症状でお困りの方が当院でも時々みえます。

 

病院で「座骨神経痛」「脊柱管狭窄症」「変形性股関節症」「すべり症」と言われている方の中にもこのような症状でお困りの方も多いのではないでしょうか。

基本的にはリハビリ内容は病名によって変わるものではなく、症状によって変わるものだと思っています。

「脊柱管狭窄症」と診断を受けた方の中には、腰の痛みでお困りの方もみえますし、今回のように太ももの外側の痛みでお困りの方もみえます。

「変形性股関節症」と診断を受けても症状は腰の場合もあります。

そして、意外と違う病名でも症状が同じだとリハビリ内容も同じになってくることが多いです。

 

そのように今回ははっきりとした病名が付きにくい太ももの外側の痛みや痺れの症状について書いていきたいと思います。

 

Contents

股関節の構造

最初に股関節の構造を簡単に説明していきます。

股関節は「大腿骨」を言われる太ももの骨と「骨盤」で構成されます。

大腿骨の上部はボール状になっていて、骨盤はそれを受けるように丸いくぼみが出来ています。

大腿骨が球状になっている事で股関節は自由度が高く可動範囲が大きな関節になっています。

 

 

大腿部の筋膜「腸脛靭帯」

太ももの部分は臀部から始まる筋肉や太ももの前で膝の向かう筋肉など大きな筋肉がたくさんある部分になります。

その中でも今回関係する「腸脛靭帯」について説明していきます。

腸脛靭帯というのは。太ももの外側にあり、骨盤始まって膝の横に付く長い靭帯です。

 

この腸脛靭帯なのですが、名前は靭帯なのですがどちらかというと筋膜が肥厚して出来たものという認識をしてもらえると良いと思います。

エビデンスなどがあるわけではありませんが、個人的には歩行時など体を動かす時にこの部分には負担がかかりやすいので、その負担に耐えるために筋膜が肥厚したのではないかと思っています。

筋膜は靭帯に比べると柔軟性があり、牽引力などが加われば比較的伸びやすい組織であることと、細かな神経も含まれているので負担が加われば痛みや痺れを引き起こす要因にもなると考えられます。

 

大腿部の神経

 

神経というのは筋肉に指令を与える役割と皮膚などの感覚を脳に伝える役割があります。

その為、神経に障害が起きると筋肉が動かなくなったり、感覚の麻痺や痺れに繋がります。

それを踏まえて、ここでは太ももの上の方にある神経を2つ説明していきます。

 

1つ目は「腸骨下腹神経」と呼ばれる骨盤の少し上を外側から出ている神経です。

 

この神経は太ももの外側上部からやや前方の感覚に関与しています。腸骨下腹神経に障害が起きるとこの範囲に痺れなどが起きやすいという事です。

 

 

2つ目は「外側大腿皮神経」と呼ばれる骨盤の前方(股関節の前方)から出ている神経です。

 

この神経は太ももの外側の感覚に関与している神経になります。

 

今回はこの神経に障害が起こると痺れが起こるという事ですがどのような原因で神経に障害が起こるかを次から説明したいと思います。

 

 

痛み・痺れの原因

 

ここでは先ほどの腸脛靭帯(筋膜)、腸骨下腹神経、外側大腿皮神経に障害が起こる原因と大腿外側に痛みが出る方の歩き方の特徴を説明したいと思います。

 

なぜ大腿外側に痺れ・痛みが出るのか

先ほど挙げた3つの組織ですが、細かな違いはありますがこれらの組織にストレスがかかる大きな原因は太ももが内側に引っ張られているという事です。

太ももには内転筋という大きな筋肉があり、この筋肉が硬くなると太ももが内側に引っ張られて、外に開きずらくなります。

 

そうなるとどうなるかというと、内側に引っ張られることで腸脛靭帯があるような太ももの外側の距離が長くなるので、外側の組織が引っ張られて伸張ストレスがかかります。

 

筋膜や神経というのは圧迫や圧縮によるストレスよりも引き延ばされるストレスに弱く出来ています。

なので、この伸張ストレスがかかり続けて、今までケアをしていない方はそれが蓄積されて痛みや痺れとなります。

 

この症状は歩いている時に出る方が多いですが、中には寝ている時や座った後に立ち上がる際に出るという方もみえると思います。

そんなに足が内側に入っている自覚もない方がほとんどだと思いますが、太もも自体が内側に入っていなくても、内ももが硬くなると骨盤が硬い方に寄っていきます。

いわゆる骨盤のズレですね。

これが起きると骨盤と太ももの関係性は太ももが内に入った状態と同じ形になります。

このせいで、安静にしていても太ももの外側にはずっとストレスが加わり続けている事になります。

 

 

大腿外側部痛の方の歩き方の特徴

このような方に多いのが「長時間歩くと太ももの外側が痛くなる。」という訴えですが、このような方に多い歩き方の特徴から太ももの外側にストレスがかかる理由を説明していきたいと思います。

 

先ほどの内転筋が硬くなると歩き方に2つの大きな特徴が出ます。

1つは硬くなった方の足を大きく踏み出して歩くようになるという事。

これは大腿外側の痛みに限ったことではありませんが、基本的には大きく踏み出す方の脚には股関節にしても、膝にしても痛みが出やすくなります。

それは身体から足が離れて距離が出来るせいで、足を着いた時に身体を支えるために必要以上に筋力を使うからです。

例えば手で荷物を持つときに身体の近くで持つのと、肘を伸ばして身体から離して持つのでは体から離して持つ方が早く疲れますよね。

歩く時にもこれと同じことが起きているので体から遠くで着地をするとその分使う筋力も大きくなり、痛みが出やすいという事です。(痛みでなくても疲労感などが出やすくなります。)

 

もう一つの特徴は足を着いた時に骨盤が外側に流れるような動きが出ます。

これは内ももが硬くなったせいで骨盤が引っ張られて必要以上に横に動いてしまうのです。骨盤スウェーと言ったりします。

この写真でも足の位置よりも骨盤がかなりそのに位置しているのが分かると思います。

 

実は先ほども説明したように骨盤スウェーの状態は、内ももが引っ張られている状態と同じ状態になっているのです。

この骨盤がそれ以上横に動かないように踏んばっている場所こそ太ももの外側の組織になります。

さらにこの動きは腸骨下腹神経、外側大腿皮神経に牽引ストレスが加わるため神経障害の原因にもなります。

 

歩行というのは一歩一歩は軽い負荷でも1日数千歩と歩いているうちに蓄積されて大きなストレスになっている事が多いです。

だから、長時間歩くと痛みが痺れが出るという事に繋がってきます。

 

簡単に言うと、太ももが内に入った状態のまま歩く為、外側の組織が引っ張られて牽引ストレスがかかり続けているという事です。

そして、それを引き起こしているのは内転筋という内ももの筋肉が固まってしまっている事が原因というわけですね。

 

 

大腿外側に痛みのある方のリリース方法

 

ここまでで、痛みの原因は内転筋にあるという事は分かって頂けたのではないかと思います。

ここからは実際のリリース方法を説明していきたいと思います。

 

痛み・痺れが横の場合(腸脛靭帯、腸骨下腹神経外側大腿皮神経)

痛みや痺れが太ももの外に感じる方は骨盤側方スウェーが原因になっている可能性が高いので、内転筋のリリースを行なっていきます。

 

内転筋はこのように骨盤から太ももの内側を走行する筋肉なので、この辺りを手でほぐしてみてください。

 

リリースグッズを使う方はローラーを使ってこのようにリリースしてみて下さい。

 

3分〜5分を目安にしてもらえるといいと思います。

 

最初はやりづらさと痛みがあるかもしれませんが、ほぐれてくれば痛みも減っていくので慣れるまで継続する事が大切です。

 

 

痛み痺れが大腿中央またはやや前方の場合(外側大腿皮神経)

痛みが外側でも太ももの中央付近であったり、やや前方にある方は外側大腿皮神経の障害である可能性が高いです。

この外側大腿皮神経の障害の場合は股関節の内転位というだけでなく、骨盤後傾が問題になっている場合も多くなっています。

外側大腿皮神経は骨盤の前方から太ももに出てくるため、骨盤が後傾することでより牽引ストレスが加わり、神経障害が起きてしまいます。

その為、骨盤を前傾方向に誘導する様なリリースも必要になります。

骨盤を後傾させる原因で多いのがお尻の筋肉(大殿筋)の短縮です。この筋肉が骨盤を後方に引っ張ってしまうのでリリースをして、柔軟性を改善させる必要があります。

リリースの仕方は仰向けに寝た状態で、テニスボールや野球ボールを上の写真の赤丸の下に置き、お尻を上下左右に動かします。

痛みが強い部分を見つけたら、硬い証拠なので重点的にほぐして下さい。

 

これも片方3分~5分を目安にじっくりとほぐすと効果が出やすいのでやってみて下さい。

おまけ

なぜ内転筋は硬くなりやすいのか。

今日は内転筋が硬くなると、大腿外側の痛みや痺れに繋がるというお話を書きましたが、ではなぜ内ももが硬くなるのでしょうか。

 

これは日常で足を閉じている時間が極端に長いからです。

デスクワークの人は基本的には膝と膝を大きく広げて仕事をしている方は少ないと思います。

女性だとくっつけるぐらいの方も多いとと思います。

立ち仕事の方でも基本的にはそれほど足を広げることはないと思います。

日常で足をしっかりと開くことって少ないんですね。

 

これに気付かずに内もものストレッチなどをしないでいるとどんどん硬くなっていくという事ですね。

ほぐすことも大切ですが、1日1回ぐらい開脚や伸脚などのストレッチを取り入れてみるのもいいと思いますので、これもやってみて下さい。

 

最後に

今回は太もも外側の痛みや痺れについて説明していきました。

この症状はレントゲンやMRIでもはっきりとした原因は見つけにくく、病名も様々な病名がつけられます。

それは原因が姿勢や歩き方に隠れていて、画像診断だけではなかなか見つけにくいからです。

しかし、歩き方を見させて頂くとほとんどの方がこの骨盤スウェーが出ていてこれを減らしていくと症状は改善されるので、このような症状でお困りの方は一度試して頂くと長年の痛みや痺れも改善されるかもしれませんので、一度試してもらえると嬉しいです。

 

 

本日は長文を最後までお読み頂き本当にありがとうございます。

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