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臼蓋形成不全でお悩みの方へ。

こんにちは。

 

愛知県豊明市にある、HK LABOの服部 耕平です。

現在までに整形外科専門病院、デイサービス、トレーナー活動で様々な痛みでお困りの方の施術をさせて頂きました。

姿勢や歩き方などの動作から一人一人の方の痛みに合わせた治療をおこなっております。

 

Contents

はじめに

 

今回は「臼蓋形成不全(発育性股関節形成不全)」について説明したいと思います。

この臼蓋形成不全自体ははっきりとした原因が分かっていなかったり、生まれつきと言われているので予防自体は難しいと思います。

 

この臼蓋形成不全は変形性股関節症に移行するケースが多く、その不安をお持ちの方もみえると思います。

今回の内容では臼蓋形成不全の方に痛みの改善と変形性股関節症の予防のためにはどうしたらいいのかという事を説明していきます。

 

股関節の構造

 

最初に股関節の構造を簡単に説明していきます。

股関節は「大腿骨」を言われる太ももの骨と「骨盤」で構成されます。

 

 

大腿骨の上部はボール状になっていて、骨盤はそれを受けるように丸いくぼみになっています。

大腿骨のボール状の部分を「骨頭」と言い、骨盤側のくぼみの部分を「臼蓋」と言います。

 

大腿骨が球状になっている事で股関節は可動範囲が大きく自由度の高い関節になります。

 

 

臼蓋形成不全とは

 

臼蓋形成不全とは先ほどの「臼蓋」と呼ばれる部分の発育不全・形成不全によりくぼみが浅くなることを言います。

受け皿の部分が小さくなるという事です。

 

 

 

股関節は本来、臼蓋が広く骨頭を覆っているため、関節が安定し衝撃も分散します。

しかし、受け皿となる臼蓋が浅くなると体重を支える部分が小さくなり、不安定とともに衝撃が集中することで軟骨がすり減りやすくなります。

この状態が長年続くことで変形性股関節症に移行していきます。

中高年の女性の変形性股関節症の8割が臼蓋形成不全が原因と言われています。

 

原因は先天性股関節脱臼がきっかけになる先天的な要因から、発育の問題で起こる後天的なものがあると言われています。

 

 

症状

 

症状は様々で

 

  • 股関節痛
  • 股関節の可動域制限
  • 臀部痛
  • 大腿部の痛み
  • 膝の痛み
  • 跛行(びっこを引くような歩き方になる)

 

など、様々な症状が挙げられます。

 

しかし、臼蓋形成不全でも症状のない場合もあります。

 

 

検査方法

 

整形外科ではレントゲンでこれらのような測定をして判断をします。

 

CE角  :20°以下 寛骨臼形成不全

20°〜25° 境界型

25°以上   正常

 

 

 

 

Sharp角  :成人男性38〜42°、成人女性43〜45°

を正常とし、この角度以上のものを

寛骨臼形成不全と判断する。

 

 

 

僕たちはこのような検査は出来ませんが、当院にみえる方は整形でこのような検査をしてから見えることがほとんどです。

 

 

当院でよく行う股関節のテスト法としてはパトリックテストと呼ばれる検査をします。

パトリックテストは仰向けで股関節を開いて痛みが出るかどうかをチェックします。

 

 

拘縮などの場合も陽性になるので、臼蓋形成不全が分かるというわけではありませんが、股関節の痛みのチェックには有効だと考えています。

 

さらにインピンジメントテストという検査をします。

インピンジメントテストは寝た状態で股関節を曲げて膝を内に入れるように押していきます。

 

 

このテスト法も臼蓋形成不全をチェックするというよりは痛みが出るかのチェックを確認します。

 

この二つのチェックでどのような動きで痛みが出るのか、どの位置に痛みが出るのかというところを確認していきます。

これが治療や硬くなっている部分のヒントになります。

 

治療法

一般的な治療法としてはまずは保存療法になります。

保存療法は

 

  • 内服
  • 注射
  • 物理療法(電気治療)
  • 徒手療法(マッサージ、筋膜リリース・ストレッチ)
  • 運動療法(股関節周囲筋の強化)

 

などがあります。

 

これらで改善しない場合は観血療法(手術)という事になります。

 

多くの方が保存療法で改善したいと考えていると思います。

では、その保存療法の徒手療法で実際にどのように治療をしていくかを説明していきます。

 

変形性股関節症に進行させない為には

 

ここからは変形性股関節症に移行させないための保存療法として筋膜リリースの説明をしていきます。

 

なぜ変形性股関節症に移行していくのか

 

これは臼蓋が浅くなり衝撃を受ける面積が集中してしまうという説明をしました、それに加えて関節の硬さ影響します。

股関節というのは大腿骨の上部の骨頭と呼ばれる部分が臼蓋の中を転がることで幅広くスムーズな動きが可能になります。

 

変形性股関節症に移行している方の多くは股関節を後方に伸ばす伸展と呼ばれる動きが制限されています。

 

伸展の可動域の制限がある状態の歩行は脚が後方に伸びない為、歩幅が小さくなります。

 

 

歩幅が小さくなるとさらに狭い面積に圧が加わり、より衝撃が集中して変形が進行していきます。

 

臼蓋形成不全がある以上、正常の方よりも衝撃が集中してしまうのですがそれ以上に局所に集中させない為にはこの伸展制限の改善が必要になります。

 

伸展制限の原因は?

 

では伸展制限の原因を説明していきます。

伸展制限の原因はいくつか可能性がありますが、実際に一番多いのは「内転筋」になります。

 

この筋肉は股関節の前面にも位置する筋肉になるので足が後方に伸びた時に突っ張る筋肉になります。

特に上部や前面にある恥骨筋や長内転筋は制限をかけやすい筋肉になります。

 

 

これらの筋肉の柔軟性を改善させて、股関節の可動域を改善させることが進行を止める治療法になります。

 

内転筋の筋膜リリースの方法

 

先ほども出しましたが内転筋(群)は太ももの内側にあります。

今回の伸展の制限をしている時は、股関節に近い部分に硬さがあることが多いです。

 

 

この部分はローラーでは筋膜リリースしにくいので手でリリースする事をお勧めします。

 

このようにあぐらのかくように股関節を開いた状態で股関節に近い部分を触ってみて下さい。

 

 

この部分にピンと張った筋肉を感じると思います。

 

これを横断するようにゴリゴリとほぐしていきます。

 

写真は座った状態ですが、完全に寝た状態の方がより分かりやすいかもしれません。

ちなみにこの内転筋がほぐれると先ほど解説したパトリックテストで痛みがある方も段々と痛みが軽減されると思います。

痛みがある方はそれも確認しながら筋膜リリースをしてみて下さい。

 

最後に

 

今回は臼蓋形成不全について解説をしました。

 

この臼蓋形成不全の方は若い時から股関節の痛みがあり、将来変形性股関節症やその手術をするという不安をお持ちの方も多いと思います。

臼蓋形成不全も程度があるので全ての方が手術を回避できるとは思っていませんが、回避できる手術もあると思っています。

 

今回は内転筋に絞って説明しましたが、伸展を制限するものは内転筋以外にもありますし、違う動きの制限があっても同じように軟骨がすり減りやすくなります。

それさえ見極めれば少なくとも痛みは改善されると思ると思います。

その痛みの改善が将来の変形性股関節症の予防になることもあるので、痛みのある方は早めに専門家にみてもらってください。

 

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

服部 耕平

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