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クロールのキック(バタ足)の時に膝の痛みでお困りの方へ。

こんにちは。

 

愛知県豊明市にある、HK LABOの服部 耕平です。

現在までに整形外科専門病院、デイサービス、トレーナー活動で様々な痛みでお困りの方の施術をさせて頂きました。

姿勢や歩き方などの動作から一人一人の方の痛みに合わせた治療をおこなっております。

 

Contents

はじめに

 

今回は水泳のバタ足の際の膝の痛みでお困りの方に向けて解説をしていきます。

膝の痛みの中でも今回の症状の方は膝のお皿やお皿の下に痛みが出る方が多いのではないかと思います。

 

病名としてはオスグッドシュラッタ―病、膝蓋大腿関節症、膝蓋靭帯炎、腸脛靭帯炎などの病名が挙げられます。

タイトルではクロールのとなっていますが、バタフライ、背泳ぎ、クロールのキックは同じような動きになるので当てはまると思います。

 

キック(バタ足)の動き

では、最初にキック(バタ足)について膝の動きを説明していきます。

今回はクロールのキックで説明したいと思います。

 

クロールのキックは脚を打ち下ろすダウンキックと上方に蹴り上げるアップキックの二つの動きに分けられます。

 

ダウンキックは膝を少し曲がった状態から伸ばしながら打ち下ろす動きになります。

これは医学的な用語でいうと膝の伸展と呼ばれる動きになります。

 

アップキックは逆に膝が伸びた状態から持ち上げながら膝が少し曲がる状態になります。

こちらは医学的な用語では膝の屈曲と呼ばれる動きになります。

 

水泳のキックではダウンキックの際の膝の痛みでお困りの方が多いので、ダウンキックの膝の痛みについて説明したいと思います。

 

 

ダウンキックでなぜ痛みが出るの?

 

ではなぜダウンキックの痛みの原因について説明します。

まず、ダウンキックで膝の痛みが出る方の多くが痛みが出るタイミングは打ち終わりの膝が伸びきるタイミングです。

 

このタイミングは膝がまっすぐ伸びると思われているかもしれませんが、勢いもあって普通に自分で伸ばす以上に膝が伸びています。

過伸展と呼ばれる状態です。

この時に膝の伸展可動域が制限されていると関節に負担がかかり膝の前方や後方に痛みが出ます。

痛みがある方でも一見、自分ではまっすぐ伸びていると思われている方でも実際には軽度の可動域制限があります。

 

この状態で勢いによって過伸展位まで伸びることで負担がかかるという事です。

これによって負担がかかる部位は膝後方の場合もあります。

しかし、無理やり伸ばすことで前方の軟部組織が挟まれたり、前方の膝伸展作用のある筋肉に過度な負担がかかる場合もあります。

 

水の中なのでイメージしづらいですが、極端に言うとふくらはぎを押されて無理やり膝を伸ばされているようなストレスがかかります。

 

キックに必要な可動域があれば多少化進展されても痛みは出ません。

今回のような膝の痛みを根本的に解決するためにはこの伸展制限を解決する必要があります。

 

伸展制限の原因

 

ではここからは伸展制限の原因です。

関節可動域制限の原因としては筋肉や関節包と呼ばれる関節の周囲にある袋の関与が大きいと言われています。

(参考 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/41/8/41_KJ00009647371/_pdf)

 

その中でも実際に関与が大きく変化が出やすい筋肉について説明していきます。

膝の伸展制限の原因になる筋肉は基本的には膝の後方にある筋肉になります。

具体的には「大腿二頭筋」「半膜様筋」「半腱様筋」「内側腓腹筋」「外側腓腹筋」「膝窩筋」「足底筋」などがあります。

これらの筋肉は硬くなると膝の後方が突っ張り、伸展の制限になります。

 

 

これに加えて膝の後方ではありませんが「大内転筋」も膝伸展の制限になります。

 

これらはどの筋肉も伸展制限の原因になるので見ていない状態で絞ることは難しいのですが、よく実際に遭遇する「大内転筋」と「大腿二頭筋」について解説をします。

 

大腿二頭筋による膝伸展制限

 

大腿二頭筋は骨盤から始まる「長頭」と大腿骨から始まる「短頭」があります。

 

この二つ大腿後面を通り、膝裏外側から腓骨頭と呼ばれる部分に付きます。

 

膝裏を通っているので膝を伸ばす時に突っ張り伸展の制限になります。

 

 

大内転筋による膝伸展制限

 

大内転筋は骨盤から大腿骨の内側に付いている筋肉になります。

 

 

さらにその中で膝の近くに伸びているこの部分。

 

 

大内転筋のこの付着部が意外と伸展の邪魔をします。

 

うまく表現できませんが、大腿骨が下に下がりにくくなるというイメージです。

 

 

実際に臨床でリリースをさせて頂いても、リリース後は大腿骨が下がりやすくなります。

 

 

 

では、これらの筋肉の緩め方を最後に説明していきます。

 

大腿二頭筋の筋膜リリース

 

大腿二頭筋はもも裏にある大きな筋肉ですが、膝に影響しやすい部分は膝近くのこの部分になります。

 

太ももを横からつかむように把持して人差し指から小指でこの部分のコリコリしている筋肉を探ってみて下さい。

 

 

分かりづらいですがうっすら浮き出ているような部分です。

 

比較的触りやすいのでこの筋肉を横断するようにコリコリしていもらえれば徐々に緩んでいくと思います。

ローラーでも筋膜リリースは出来ますが、触りやすいのとこの辺りで筋肉が細くなるので手で緩めることをお勧めします。

 

大内転筋の筋膜リリース

 

「大内転筋」のリリースの方法ですが、それほど難しくありません。

 

太もも内側の膝に近い部分ですね。

この部分にコリコリと筋張っている筋肉があると思います。

 

 

少し強めに押して探す必要があるかもしれませんが、上下に手を動かしながら横断するようにこの部分をリリース(ほぐ)していきます。

 

筋膜リリースのローラーをお持ちの方はこのように内ももに当てて、転がしてみて下さい。

 

 

リリースした後にもう一度膝を伸ばして、少しでも軽減していたらリリースが出来ている証拠です。

 

 

最後に

 

今回は水泳のキックの際に膝に痛みが出る方に向けて解説を行いました。

今回の内容を書こうと思ったのも実際にキックの痛みで悩んでいる学生が来店されたからです。

 

その学生も膝の伸展制限があり今回紹介した二つの筋肉が硬くなっていました。

現在ほぼ痛みが取れてきてあと数回で治療卒業かな、というところです。

 

変形性膝関節症や変形性股関節症などの治療以外にもスポーツ障害の治療も得意としていますので、気になる方は一度ご相談ください。

 

今回も途中でいくつか原因になる可能性がある筋肉を挙げてその中の2つを紹介しました。

他の筋肉が原因になっている可能性もあるので効果がなかったからと諦めずに専門家に一度見てもらって下さい。

原因は必ずどこかに隠れていると思います。

 

本日も最後までお読み頂きありがとうございました。

 

服部 耕平

 

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