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糖尿病の方へ|なぜ運動が必要なのか?血糖が下がる体の仕組みをわかりやすく解説

こんにちは。

愛知県豊明市にある、HK LABOの服部 耕平です。

現在までに整形外科専門病院、デイサービス、トレーナー活動で様々な痛みでお困りの方の施術をさせて頂きました。

姿勢や歩き方などの動作から一人一人の方の痛みに合わせた治療やトレーニングを行っています。

 

糖尿病でお困りの方へ

今回は、糖尿病の方に向けた「トレーニングの考え方」についてお話ししていきます。

ここでいうトレーニングとは、きつい運動を頑張ることではなく、
なぜ運動が血糖値の改善に必要なのかを理解することを目的としています。

 

糖尿病の方の多くは、将来に対してさまざまな不安を抱えているのではないでしょうか。
  • インスリンや薬が増えていくことへの不安
  • 足の痛みやしびれ
  • つまずきや転倒しやすくなった感覚
  • 腎臓・目・循環器系など、将来の合併症への不安
  • 疲れやすさや全身のだるさ

 

病院や周囲から「運動が大切」「ウォーキングをしましょう」と言われ、
実際に歩いてはいるものの、

  • この運動で本当に合っているのか分からない
  • 運動しているつもりでも、HbA1cや空腹時血糖がなかなか改善しない

そのように感じている方も多いのではないでしょうか。

改善したいことや目標は、人それぞれ違います。
  • 薬をできるだけ増やしたくない
  • HbA1cを6%台で安定させたい
  • 食後血糖を上げすぎないようにしたい
  • 筋肉量を増やしたい
  • 旅行や趣味を将来も安心して楽しみたい

 

そのために、薬はとても大切な存在です。

 

ただし、薬の量を減らしたり、血糖値の「根本的な改善」を目指していくためには、
運動が欠かせない要素になります。

もちろん、トレーニングだけで全てが改善するわけではありません。
薬・食事・運動・ストレス(炎症反応)など、総合的なアプローチが必要です。

 

なぜなら、薬は血糖値を下げることはできますが、
血糖値が上がりやすくなっている原因そのものを解決するわけではないからです。
薬は、病気の進行を抑え、合併症を防ぐために重要な役割を担っています。

また後ほど詳しく説明しますが、糖尿病を根本的に改善へ向かわせるためには、
次の2つが体の中で起きている本質的なポイントになります。
  1. インスリン抵抗性を下げること
  2. インスリン分泌機能を保ち、必要に応じて高めること

そして、この2つは互いに深く影響し合っています。

ここで重要になるのが、内臓脂肪と炎症反応です。

内臓脂肪が増えると体の中では慢性的な炎症が起こりやすくなり、
この炎症がインスリン抵抗性を高める原因になります。

運動には、血糖を筋肉に取り込むだけでなく、
内臓脂肪を減らし、炎症反応を抑える働きがあります。

 

では、なぜ運動が血糖値の低下に効果的なのか。
なぜ「ただ歩くだけ」では足りない場合があるのか。

 

今回は、具体的なトレーニング内容の前に、
その理由と仕組みについて解説していきます。

 

ポイントはGLUT4(グルット4)

 

運動が血糖値の改善に役立つ理由

 

実は私たちの体には、インスリン以外にも血糖を下げる仕組みが備わっています。
それを大きく担っているのが筋肉です。

 

そして筋肉の中には、GLUT4(グルット4)と呼ばれる
「糖の通り道(糖輸送体)」があります。
このGLUT4は、血液中の糖(ブドウ糖)を筋肉の細胞内に取り込む役割を持っています。

ただし、GLUT4は普段からフル稼働しているわけではありません。
安静時は働きが弱く、血糖を取り込む力は高くない状態です。

 

なぜなら、GLUT4の多くは普段細胞の中にしまわれており、
細胞表面(細胞膜)にはほとんど出ていないためです。
その結果、血液中の糖は細胞内に入りにくくなります。

ところが、運動をするとGLUT4は細胞表面へ移動します。

 

細胞表面にGLUT4が出てくることで、
血液中の糖を細胞内に取り込みやすい状態が作られます。
これが、運動で血糖が下がりやすくなる大きな理由です。

 

重要なポイント:
インスリンに頼らなくても、運動によって血糖を下げる方向に働く
という点です。

 

「インスリンに頼らない」という視点は、
長期的な血糖コントロールを考えるうえでとても重要です。
糖尿病では、インスリンが効きにくい(インスリン抵抗性が高い)状態が関わることが多いため、
運動という“別ルート”で血糖を取り込めることは大きなメリットになります。

さらにポイント:効果は運動中だけで終わりません。

個人差はありますが、運動によるこの働きは
数時間〜最大で約24時間続くとされています。
つまり、1回の運動でも翌日まで効果が残る可能性があるということです。

 

だからこそ、基本は毎日の運動がおすすめです。
もし毎日が難しい場合でも、2日に1回を目安に続けてみてください。
そして運動の本当の強みは、
「続けるほど血糖が下がりやすい体に適応していく」ことです。

 

1回ごとの効果は一時的ですが、継続することで
筋肉内のGLUT4の総量が増えることが分かってきています。

さらに、運動を続けることでインスリン感受性(インスリンの効きやすさ)も高まり、
同じ刺激でも血糖が下がりやすい体へと変化していきます。

 

薬は血糖値を下げるためにとても大切です。
一方で運動は、体そのものを「血糖が下がりやすい状態」に作り変えていく
という点が、運動療法ならではの強みです。

 

 

筋肉は糖の貯蔵場所

 

運動によってGLUT4を細胞表面に移動させることで、
インスリンに頼らず血糖を筋肉内へ取り込むことができます。

しかし、糖尿病の運動療法では「取り込む」だけでは十分とは言えません。

筋肉は、血糖をグリコーゲンとして貯蔵する「受け皿」でもあります。
つまり筋肉は、血液中の糖を一時的に取り込むだけでなく、
ためておける場所にもなります。

筋肉量が少ない状態では、いくらGLUT4が働いても、
受け取れる糖の量には限界があります。
だからこそ、糖尿病の運動では
  • GLUT4を活かして血糖を「取り込む」運動
  • 筋肉量を維持・増加させて糖を「ためておける体」を作る運動

つまり糖尿病の運動では、
「血糖を下げる運動」
「血糖をためておける体を作る運動」
この両方を同時に考える必要があります。

 

 

なぜ内臓脂肪が問題になるのか

ここまで、GLUT4や筋肉量といった
「血糖を取り込む」「血糖をためる」仕組みについて説明してきました。

これらは、血糖値を改善していくうえで非常に重要なポイントです。

しかし、糖尿病の体の中では、
それだけでは血糖が下がりにくくなってしまう要因が存在します。

その大きな要因の一つが、内臓脂肪です。

内臓脂肪というと、
「お腹まわりにつく脂肪」「見た目の問題」
というイメージを持たれる方も多いかもしれません。

 

しかし実際には、内臓脂肪は
血糖やインスリンの働きに深く関わる、代謝の問題として捉える必要があります。

 

内臓脂肪は、単なるエネルギーの貯蔵庫ではありません。

 

内臓脂肪が増えると、体の中では
慢性的な炎症反応が起こりやすくなります。

この炎症は自覚症状がないことも多く、
知らないうちに体へ影響を与え続けます。

 

この「炎症」が、インスリンの働きを邪魔してしまいます。

炎症が続くことで、
インスリンは分泌されているにもかかわらず、
筋肉や肝臓でインスリンが効きにくい状態が起こります。

これが、いわゆるインスリン抵抗性です。

 

つまり、いくらGLUT4を動かし、筋肉量を増やそうとしても、
内臓脂肪による炎症が強い状態では、
インスリンも、運動の効果も発揮されにくくなるのです。

 

だからこそ、糖尿病の運動を考えるときには、
「血糖を下げる」「筋肉を増やす」だけでなく、
内臓脂肪を減らすことも非常に重要なポイントになります。

 

 

インスリン抵抗性が高いと何が起きるのか

 

内臓脂肪による炎症が続くと、
体の中では少しずつ「インスリンが効きにくい状態」が作られていきます。

インスリンは、血液中の糖を筋肉や肝臓の細胞内へ取り込み、
血糖値を下げるために欠かせないホルモンです。

 

しかし、インスリン抵抗性が高くなると、
インスリンが分泌されていても、その指示が細胞に伝わりにくくなります。

 

その結果、血糖が下がりにくい状態が起こります。

 

体は「血糖が高いまま」という状況を何とかしようとして、
さらにインスリンを分泌し、無理に血糖を下げようとします。

つまり、インスリン抵抗性が高い状態では、
「インスリンが足りない」のではなく、
「インスリンが効かない」ことが問題
になります。

 

この状態が続くと、
血糖を下げるためにより多くのインスリンが必要になり、
膵臓(すいぞう)への負担は徐々に大きくなっていきます。

 

インスリンを分泌する膵臓は、
「頑張り続けなければならない状態」に追い込まれていきます。

 

最初のうちは何とか対応できていても、
長期間この状態が続くと、
インスリンを分泌する力そのものが低下していくことがあります。

 

これが、
「最初はインスリンがたくさん出ていたのに、
徐々に効かなくなり、薬やインスリンが増えていく」
背景の一つです。

 

 

つまりインスリン抵抗性が高い状態では、

  • 血糖が下がりにくくなる
  • インスリンの分泌量が増え続ける
  • 膵臓への負担が大きくなる
  • 将来的に分泌機能が低下しやすくなる
だからこそ糖尿病では、
インスリンの量を増やすこと以上に、
「インスリンが効きやすい体を作ること」
が重要になります。

 

 

この「効きやすい体」を作るうえで、
次に重要になってくるのが、
内臓脂肪を減らすこと、そして運動の役割です。

 

 

運動が内臓脂肪を減らす効果

 

ここまで、内臓脂肪が炎症を引き起こし、
インスリン抵抗性を高めてしまう仕組みについて説明してきました。

では、なぜ糖尿病の対策として
「運動で内臓脂肪を減らすこと」が重要なのでしょうか。

内臓脂肪は、食事を整えるだけでは
なかなか減りにくい場合があります。

運動には、内臓脂肪に直接作用する特徴があります。

筋肉を使って体を動かすと、
エネルギーが必要になります。

そのエネルギー源として、
体は内臓脂肪を含む脂肪組織を使おうとします。

特に、筋肉量が多い下半身を使う運動では、
内臓脂肪がエネルギーとして動員されやすくなります。

内臓脂肪が減ることで、
体の中の炎症反応は少しずつ落ち着いていきます

炎症が抑えられると、
これまで邪魔されていたインスリンの働きが、
少しずつ発揮されやすくなります。

つまり運動は、
内臓脂肪を減らす → 炎症を抑える → インスリンが効きやすくなる
という流れを作っていきます。

これは、血糖値を一時的に下げるだけでなく、
血糖が下がりやすい体の環境そのものを整えるアプローチです。

内臓脂肪が多い状態では、
いくらインスリンを増やしても、
その働きが十分に発揮されにくくなります。

一方で、運動によって内臓脂肪が減ってくると、
少ないインスリンでも血糖が下がりやすい状態が作られていきます。

だからこそ糖尿病の運動では、
「体重を減らすこと」よりも、
内臓脂肪を減らすことが重要な意味を持ちます。

この考え方は、
次に説明する「膵臓を疲弊させない」という視点にも
深くつながっていきます。

 

 

膵臓を疲弊させないという考え方

 

ここまで、運動によって内臓脂肪が減り、炎症が落ち着くことで、
インスリンが「効きやすい体」へ近づいていく流れを説明してきました。

この流れは、血糖値を下げるだけでなく、
もう一つ、とても大切な意味を持ちます。

それが、膵臓(すいぞう)を疲弊させないという考え方です。

膵臓は、血糖値を下げるために必要なホルモンであるインスリンを分泌しています。
そしてインスリン抵抗性が高い状態では、
同じ血糖を下げるために、より多くのインスリンが必要になります。

つまり、インスリン抵抗性が高いままだと、
膵臓は「もっと出せ」「もっと出せ」と働き続ける状態になり、
常に頑張らされてしまうのです。

糖尿病の長期的なポイントは、
インスリンを“増やす”ことより、膵臓を“楽にする”ことです。

もちろん、状況によって薬やインスリンが必要になることはあります。
ただ、運動や生活習慣で体の状態が整ってくると、
少ないインスリンでも血糖が下がりやすい状態が作られていきます。

すると体は、血糖を下げるために
「たくさんインスリンを出し続ける必要」が減っていきます。

これが、膵臓を守る上でとても大切なポイントです。
膵臓は無限に頑張れるわけではなく、
負担が大きい状態が長く続くと、分泌機能が低下していく可能性があります。

運動の役割は、インスリンの代わりをすることではありません。
インスリンが「少なくても効く体」を作り、膵臓の負担を減らすことです。

整理すると、運動には

  • 筋肉に血糖を取り込ませる(GLUT4の働き)
  • 筋肉量を維持・増加させ、糖の受け皿を増やす
  • 内臓脂肪を減らし、炎症を抑える
  • インスリン抵抗性を下げ、インスリンが効きやすい体に近づける

という複数の作用があり、結果として

膵臓を「頑張り続けなくてもいい状態」へ近づける
という意味を持ちます。
糖尿病の運動は、
「気合で追い込む」ものではなく、
体の仕組みを味方につけて、長く安定させるための選択です。

 

 

最後に

 

ここまで、糖尿病と運動の関係について、
体の仕組みから整理してきました。

糖尿病の運動というと、
「とにかく歩く」「頑張って動く」
というイメージを持たれがちですが、
実際には目的によって考え方が変わります

  • GLUT4を働かせ、インスリンに頼らず血糖を下げる
  • 筋肉量を維持・増加させ、糖をためておける体を作る
  • 内臓脂肪を減らし、炎症を抑える
  • インスリン抵抗性を下げ、膵臓の負担を減らす

これらはすべて、
「血糖を下げる」だけでなく、
「血糖が上がりにくい体を作る」
ための考え方です。

では、どんなトレーニングを、
どれくらいの強度や頻度で行えばよいのでしょうか。

この点については、
年齢・体力・合併症の有無・現在の血糖コントロール状態によって、
正解が一つとは限りません

自己流の運動で、
「頑張っているのに数値が変わらない」
「体を痛めてしまった」
というケースも少なくありません。

具体的な運動の種類・強度・頻度については、
次の記事で、より実践的に解説していく予定です。

HK LABOでは、
糖尿病の方に向けたトレーニングや運動指導も行っています。

ただ鍛えるのではなく、

  • 今の体の状態はどうなっているのか
  • どこに負担がかかりやすいのか
  • どの運動が必要で、どれは控えた方がいいのか

こうした点を評価したうえで
無理なく続けられる形で運動を組み立てていきます。

「運動が大事なのは分かっているけど、
何をしたらいいか分からない」
「このまま薬が増えていくのが不安」
そんな方は、一度ご相談ください。

運動は、
体を追い込むためのものではなく、
将来を守るための選択肢
です。

 

本日も長文を最後までお読み頂きありがとうございました。

 

愛知県豊明市 整体&パーソナルトレーニング
HK LABO

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