研究所

HOME > 研究所 > その他治療 > 肩こり > 胸郭出口症候群でお困りの方へ。

胸郭出口症候群でお困りの方へ。

こんにちは。

 

愛知県豊明市にある、HK LABOの服部 耕平です。

現在までに整形外科専門病院、デイサービス、トレーナー活動で様々な痛みでお困りの方の施術をさせて頂きました。

姿勢や歩き方などの動作から一人一人の方の痛みに合わせた治療をおこなっております。

 

 

今回は胸郭出口症候群と呼ばれる疾患について説明したいと思います。

 

胸郭出口症候群は神経や血管の絞扼により手や腕の痛みや痺れ、腕の挙げにくさや胸の痛み、肩こりなどの様々な症状があり、なで肩の女性に多いと言われています。

 

治療法としては猫背の修正や胸の筋肉の硬さにより神経が絞扼されるという考えから、胸の筋肉のストレッチやマッサージ指導をされることが多いと思います。

 

今回はそのような治療法でなかなか治らない方になぜ治らないのか、どのような治療法が良いのかを胸郭出口症候群の原因から説明したいと思います。

 

 

Contents

胸郭とは

 

胸郭というのは胸の中央にある胸骨、肋骨と背骨である胸椎と呼ばれる骨で構成されている部分を言います。

 

 

ここに上に鎖骨、後方には肩甲骨があり上肢(腕)と連結する土台になる部分にもなります。

 

 

この部分は首から出る神経や血管の通り道になっていて、胸郭に限らずこういった部分では神経や血管の絞扼が起きやすいので注意が必要な場所です。

 

 

 

胸郭出口症候群とは

胸郭出口症候群とは頸椎と呼ばれる首から出ている神経の束(腕神経叢)や心臓から枝分かれしている鎖骨下動脈と呼ばれる血管が首の筋肉(前斜角筋と中斜角筋の間)、鎖骨と肋骨の間、小胸筋と肋骨の間で絞扼を受けることで胸の痛み、腕や手の痺れなどの症状が出る疾患を言います。

 

 

 

 

20代のなで肩の女性に多いと言われていますが、なぜなで肩の人の多いかは後ほど説明したいと思います。

 

症状としては

 

☑ 腕を挙げた際に上肢(腕や手)に痺れや脱力感がある

☑ 重たい物を持った際に胸や手に痛みや痺れが出る

☑ 腕を動かすと肩や上腕部に痛みが出る

☑ 安静にしている時、手を下ろしている時に痺れや倦怠感(ダルさ)が出る

 

などがありますがは不定愁訴(はっきりとしない症状)も多く、様々な症状があります。

 

こういった症状がなぜ出るのか、なぜ胸郭出口症候群になるのかを説明したいと思います。

 

 

HK LABOが考える胸郭出口症候群の原因と治療法

 

ここからは原因と治療法について解説したいと思いますが、先ほど説明した胸郭出口症候群の中の小胸筋症候群または過外転症候群と呼ばれる小胸筋によって絞扼される原因と治療法について説明したいと思います。

 

 

小胸筋症候群の原因

小胸筋症候群は小胸筋の下で神経が絞扼・圧迫されることで起こるのですが、なぜ小胸筋の下で神経が圧迫されてしまうのでしょうか。

 

まず小胸筋というのは胸の前方にある筋肉で肋骨から肩甲骨の前方についています。

 

 

この筋肉や鎖骨の下を神経や血管が通っています。

 

 

よくこの筋肉が硬くなることで神経が絞扼されるという説明がされていることが多いですが、僕はこの筋肉自体の硬さのせいではないと考えています。

 

ポイントは肩甲骨の位置です。

 

胸郭出口症候群はなで肩の人がなりやすいという話をしましたが、このなで肩というのを猫背とイメージしている人もいるのではないでしょうか。

 

なで肩や猫背というのは明確な基準がある訳ではありませんが、僕自身はこの二つを別のものとして考えています。。

 

猫背は肩甲骨が前方に開いている状態のことを言います。(上腕骨の内旋(内向きの捻じれ)も同時に起こることが多いですが今回は肩甲骨にフォーカスしたいと思います。)

 

 

 

なで肩というのは下に下がっている状態のことを言います。

 

 

 

この2つは似ているのですが実は違い、治療の内容も変わってきます。

 

この小胸筋症候群の人の原因はなで肩が原因になっていることが多いので、猫背の治療ではなくなで肩の治療を行う必要があります。

 

 

 

なで肩と胸郭出口症候群

 

ではなぜ「なで肩」が胸郭出口症候群(小胸筋症候群)の原因になるのでしょうか。

 

これにはなで肩というのをさらに分解して説明する必要があります。

なで肩は肩甲骨の位置が下がっている状態という説明をしましたが、肩甲骨の位置が真下に下がるという事はあまりありません。

 

前方に引っ張られながら下がるか、後方に引っ張られながら下がるか、このどちらかに分類されます。

 

 

この画像の肩甲骨はどちらも下がっていますが、矢印の方向から下がり方が違う事が分かると思います。

少しの違いの様に見えますが、この違いにより治療法も変わります。

 

 

今回の胸郭出口になる人の多くは後方に引っ張られながら肩甲骨が下がっています。

 

ではなぜ後方に引っ張られることでこの胸郭出口症候群(小胸筋症候群)が起こるのでしょうか。

その説明をしたいと思います。

 

肩甲骨が後方に引っ張られながら下がることを「後傾」というのでここからは後傾という言葉を使っていきます。

 

 

肩甲骨の後傾が起こると前方の小胸筋は引き伸ばされます。

その小胸筋の下には血管や神経が通っているので、小胸筋が後方に伸張されることにより小胸筋の下にある血管、神経の通り道も狭くなり、神経や血管は圧迫されることがあります。(鎖骨の下にある神経や血管も圧迫されやすくなります。)

 

 

 

胸郭出口症候群に限らず神経や血管は圧迫力よりも牽引力による刺激に弱く痛みや痺れの症状が出やすいので、長時間の圧迫により腕や手に痺れや痛み、血行障害を引き起こす原因になります。

 

その為、胸郭出口症候群の人はこの肩甲骨の後傾をどう戻していくかを考えることが必要になります。

 

 

胸郭出口症候群は胸のマッサージやストレッチが効果的?

 

胸郭出口症候群のリハビリを受けたことがある人やご自身で治療法を調べた方は胸の筋肉のマッサージやストレッチを目にしたことがあるのではないでしょうか。

 

 

それで症状が改善された方は問題無いのですが、それでは改善されなかった方はもしかしたらこの肩甲骨の後傾が原因の可能性があります。

 

肩甲骨後傾が原因の胸郭出口症候群の人にはなぜ胸のストレッチが効きにくいのでしょうか。

 

なぜ胸のストレッチやマッサージが一般的に胸郭出口症候群のリハビリとして用いられるのか。

胸郭出口症候群の症状は小胸筋の下に走行している神経や血管が圧迫されることで起こるという説明をしました。

 

胸のストレッチやマッサージを勧めている理由は、この圧迫力が胸の筋肉の硬さによって起きていると考えているからだと思います。

 

そのケースも0ではないと思うので、それで症状が軽減される方はそれでいいと思います。

 

ただそれでは効果が感じられなかったり、徐々に進行していると感じられている方もみえると思います。

 

そのような方は肩甲骨の後傾が問題になっていて、胸の筋肉の硬さが原因ではない可能性があります。

むしろ、胸の筋肉は引っ張られて伸びているために下の神経や血管が圧迫されているという状態です。

 

こういった方に胸の柔軟性をつけようとストレッチを行うと肩甲骨はさらに後方に偏移して小胸筋の下の神や血管の通り道が狭くなってしまうので、最悪徐々に症状が悪化してしまう可能性があります。

 

個人的には胸郭出口症候群の原因は肩甲骨の後傾にあることが多いので、胸のストレッチには注意が必要だと考えています。

 

 

胸郭出口症候群の治療法 肩甲骨後傾(なで肩)の戻し方

 

では、ここからは胸郭出口症候群の原因となる肩甲骨の後傾をどう戻していくかについて説明したいと思います。

 

もちろんこのブログの内容が全てではありませんが、肩甲骨が後傾するのにも必ず理由(原因)があります。

 

肩甲骨の位置は周囲の筋肉の硬さは強さのバランスによって変わります。

 

筋肉が原因で位置が悪くなっているので、意識的に姿勢を正してもなかなか長続きはしないと思います。むしり意識的に肩甲骨を前後傾できる人は少ないと思います。

 

この後傾を長期的に治していくにはやはり筋肉自体を改善しないといけません。

それが胸郭出口症候群の治療にもなっていきます。

 

 

肩甲骨の後傾を作りやすい筋肉の1つに三角筋という筋肉があります。

 

三角筋は肩の周囲を覆っている筋肉ですが、その中でも後部繊維と言って肩の後方にある部分が肩甲骨を後下方に牽引して肩甲骨の後傾を作ってしまいます。

 

 

 

 

なので、今回はこの筋肉のほぐし方を説明したいと思います。

 

ほぐし方自体はそれほど難しくありませんが、手を反対の肩の後方まで伸ばして触れなければいけません。

 

 

この位置に手を伸ばしてあとはこの部分にある三角筋の後方の部分をゴリゴリとほぐしていくだけです。

 

 

中には方が硬くて反対の手をこの部分を触れないという方もみえると思います。

 

そういった方は仰向けで寝た状態で肩の後方に野球ボール、もしくはテニスボールを置いて肩を動かして肩の後方(三角筋の部分)をほぐしてみて下さい。

 

 

 

この肩の後ろは自分ではほぐしにくい場所になるので、手の場合もボールでほぐす場合もしっかりと圧をかけてほぐしてみて下さい。

 

 

時間は5分ぐらいを目安に毎日ほぐしてみて下さい。

 

最後に

 

今回は「胸郭出口症候群」、その中でも「小胸筋症候群」について説明しました。

この症状でお困りの方も多く整形などのリハビリではイマイチ効果を感じられていない方もみえると思います。

 

それは途中で説明したように胸の前のストレッチやマッサージをされている方が多いのではないでしょうか。

ネットで治療法を検索された方は前胸部へアプローチする方法がたくさん出てくると思いますし、正直整形でのリハビリも前胸部をほぐしたりするケースが多いと思います。

 

今回はそのような治療法で症状が改善しなくて悩まれている方やほかの治療法を探されている方にこういった考え方や治療法もあるという事を知って頂きたいと思い書かせてもらいました。

 

胸郭出口症候群で悩まれている方は参考にして頂ければ幸いです。

 

 

本日は長文を最後までお読み頂き本当にありがとうございます。

 

柔道整復師  服部 耕平

 

一覧へ戻る

TOPへ