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つま先立ちをした時の足首後方(アキレス腱部)の痛み「三角骨障害」でお困りの方へ。

こんにちは。

 

愛知県豊明市にある、HK LABOの服部 耕平です。

現在までに整形外科専門病院、デイサービス、トレーナー活動で様々な痛みでお困りの方の施術をさせて頂きました。

姿勢や歩き方などの動作から一人一人の方の痛みに合わせた治療をおこなっております。

 

 

今回はタイトルの通り「三角骨障害」について説明したいと思います。

 

☑ 足首を伸ばす動きで踵後方に痛みが出る。

☑ つま先立ちで痛みが出る。

☑ クラッシックバレエのポアントで痛みが出る。

☑ サッカーや空手などで蹴る動作で痛みが出る。

☑ 水泳のバタ足で痛くなる。

☑ 手術を回避したい。手術後も痛みがある。

 

このようなお悩みがある方に向けて書こうと思います。

 

あまりメジャーな病気(疾患)ではないかもしれませんが、クラシックバレエ、サッカー、空手、水泳をやられている方は聞いたことがあるかもしれません。

 

また後程説明はしますが、三角骨障害は外脛骨のように踵の骨が余分にできる病気になります。

骨自体が大きくなったり、余分にあるため最初見つかると驚かれる方も多いですが、これも大半がリハビリで改善されます。

 

良く行われるリハビリはタオルギャザーやチューブトレーニングだと思います。

 

ただ三角骨障害のリハビリはそれだけではありません。

現在リハビリをしているけど改善されないという方はリハビリの内容が現在の症状に合っていない可能性があるため、今回の内容を一度試してみて下さい。

 

 

Contents

足関節の構造

 

まずは足について説明をしていきたいと思います。

 

足には28個の骨からなり、左右で56個の骨があります。

骨の数は約200個になるのでおよそ人間の骨の4分の1がこの小さな足に集まっていることになります。

 

 

その中でも今回の三角骨障害に関係している骨は後方にある「距骨」という骨になります。

距骨は下腿と呼ばれる脛骨と腓骨の間にぴったりとはまり込んでいる骨になります。

 

 

 

 

足首を上下に動かす時には直接的にはこの距骨が脛骨と腓骨の間を滑ったり、転がったりする事でこの動きを可能にしています。

 

 

三角骨障害はこの距骨と下腿の問題が大きいのでその辺りを説明したいと思います。

 

 

三角骨障害ってなに?

 

三角骨障害はクラッシックバレエやサッカーなど足首を伸ばす動作で踵後方(アキレス腱部)に痛みが出現する疾患になります。

 

三角骨というのは距骨後方にできる過剰骨のことを言います。

底屈と呼ばれる動きでこの三角骨が脛骨の下端に衝突することで痛みが生じると言われています。

 

足関節後方インピジメント症候群(有痛性三角骨) | まちの整骨院グループ

 

 

足関節後方インピンジメント症候群ともいわれています。

 

三角骨が存在すると必ず痛みが出るわけでは無く、この衝突さえ起きなければ痛みは出ません。(無痛性)

 

 

好発年齢は中学生から高校生に好発すると言われています。

 

症状は上にも書いたように基本的には背伸びのよう踵を挙げるような動きや、ボールを蹴る時などに、アキレス腱付近に痛みが出ます。

 

 

三角骨障害で痛む部位のイラスト

(引用 http://www.jossm.or.jp/series/flie/021.pdf )

 

痛みの発生機序は人それぞれで、徐々に痛みが強くなる方もいれば捻挫をきっかけに痛みが出る方もいます。

 

 

なぜ三角骨障害になるの?

 

三角骨自体の発生理由は正直解明されていませんが、10%程度の人に存在すると言われています。

 

先天的(遺伝的)になっている可能性も否定できませんが、ここでは僕の経験からの個人的な見解を説明したいと思います。

 

 

まず、過剰骨というのは何もないところに自然とは出来ないと考えています。

外脛骨も過剰骨の一つですが、筋肉による牽引ストレスによって骨の形が変わって発生すると考えています。

(有痛性外脛骨でお困りの方はこちらをご参照ください。 ⇒ 有痛性外脛骨・外脛骨障害でお困りの方へ。

 

骨棘と呼ばれるもの(踵骨棘など)や過剰骨(外脛骨など)と呼ばれるものは何かしらのストレス(牽引ストレス、圧迫ストレス)が加わることで骨の変形、もしくは骨が膨隆することで起こると考えています。

 

 

今回の三角骨障害もそのような原因があると考えています。

それではどのような原因があるのでしょうか。

 

それはたびたび出てくる底屈と呼ばれる動きです。

足首を伸ばすような動きですね。

 

 

正常であれば底屈という動きは脛骨と腓骨で作られる溝の部分に距骨が回転、滑り運動で滑らかに動きます。

 

 

 

しかし、三角骨障害でお困りのほとんどの方はこの動きに問題があります。

 

本来であれば距骨の中心に回転中心があるため、前方と後方が同じくらい動きます。

 

 

前方が1下がれば後方は1上がるといったイメージです。

 

そしてこの底屈の際は回転だけではなく距骨はやや前方に滑りながら回転していきます。

 

 

これが正常に行われることで距骨が円滑に脛骨、腓骨の間の底屈が行われます。

 

しかし、この転がり滑り運動が正常に行われないと底屈が正常に行われません。

 

「転がり滑り運動が正常に行われない」というのはどういう状況でしょうか。

例えば距骨の前方が紐でも何でもいいので何かに止められているとします。

 

 

この状態で底屈をしようとすると距骨前方の下制と転がり運動は起こりづらくなり、回転中心は前方に移動します。

 

 

回転中心が前方に移動するというのは回転の際に後方が大きく動くという事になります。

 

この状態のまま大きく底屈をすると後方が大きく動くため脛骨下端に距骨の後方がぶつかりやすくなります。

 

 

 

この衝突が繰り返し起こることで骨の変形や膨隆が起こり、これが三角骨になるのではないかと考えています。

 

 

そして、先ほど紐でも何でもいいと言いましたが、この制限を作っているのが足首前方にある筋肉ですね。

具体的には「前脛骨筋」「長趾伸筋」「長母指伸筋」と呼ばれる筋肉です。

 

 

 

距骨自体には筋肉が付着していないので直接距骨を引っ張ることはないのですが、これらの筋肉は距骨の前方を通り距骨が前に出ないようにブロックするため、転がり滑り運動の邪魔をします。

 

 

これらが三角骨障害の原因だと考えています。

 

 

どうやって三角骨障害を治すの?

 

ここまで読まれた方はもう治し方はイメージされているかもしれませんが、三角骨障害の治療法は距骨の動きを制限している「前脛骨筋」「長母指伸筋」「長趾伸筋」の柔軟性を改善することになります。

 

これらの筋肉は全てスネから足首の前方を通って指先につきます。

 

 

このどれが原因になっているか自分で判断するのは正直難しいと思います。

 

なので、このように脛や足首の前方を幅広く全体をリリースしてみて下さい。

 

 

その中でわかる方は硬い部分や押さえて痛みの強い部分を集中的にリリースしてみて下さい。

 

リリースが出来ているかの確認は立った状態で踵上げで確認してみて下さい。

上手くリリース出来ていれば踵上げがしやすくなると思います。

 

まとめ

 

今回は三角骨障害について書いてみました。

 

外脛骨障害や三角骨障害のような余分に骨が出来る過剰骨のような障害は骨があるから痛みがあると思われている方もみえると思います。

 

しかし、今回説明した衝突をしないように出来れば痛みは改善されていきます。

 

まだまだこういった治療をしてもらえるところは少ないと思うので、一度ご自身でリリースを試してみて下さい。

 

それで症状が改善されなくても、このパターンの三角骨障害では無かったというだけで、改善方法はあると思うので、専門の方に診てもらって下さい。

 

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

服部 耕平

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