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走った時のすねの内側の痛み「シンスプリント」でお困りの方へ。

こんにちは。

 

愛知県豊明市にある、HK LABOの服部 耕平です。

現在までに整形外科専門病院、デイサービス、トレーナー活動で様々な痛みでお困りの方の施術をさせて頂きました。

姿勢や歩き方などの動作から一人一人の方の痛みに合わせた治療をおこなっております。

 

今回はランナーやサッカー、バスケットなどに多い「シンスプリント」について書いていこうと思います。

 

一般の方にはなかなか聞きなれない言葉かもしれませんが、先ほど挙げたスポーツをやられている方は聞いたこともある方もみえると思います。

 

このシンスプリントも「成長痛」と言われて、痛みが軽快するまでスポーツ活動の休止を促されるケースが多いと思います。

 

しかし、安静だけでは痛みが無くなり復帰しても、再発している方も多いのが現状です。

いつも同じ繰り返しになりますが、再発してしまうのは根本的な原因が解決されていないからです。

 

今回はシンスプリントに悩まされている方に向けて、原因はどこにあるのか、再発しないためにはどうしたらいいのかという事を書いていこうと思います。

 

 

Contents

シンスプリントってなに?

 

「シンスプリント」というのはランニングやジャンプ、切り返しの動作が多いスポーツでよく起こるスポーツ障害の一つです。

 

ランニングや着地の際に間違った体の使い方によって筋肉に過度なストレスが加わり、脛骨と呼ばれるすねの骨の内側に痛みが出ます

「オーバーユース(使い過ぎ)」「成長痛」と言われることが多いですが、それだけではなく体の使い方を直していかないと何度も再発してしまいます。

 

痛みの部位としては下腿の中央~下1/3部の後方内側に出ることが多いです。

 

 

 

どんな症状が出るの?

 

症状としては

 

☑ 走った時のふくらはぎ・すねの痛み

☑ ジャンプの時に痛みが出る

☑ すねの内側を押すと痛い

☑ 歩くだけでも痛い

☑ 運動後にジーンとした痛みが残る

 

などが挙げられます。

 

一般的にはふくらはぎのストレッチやアイシング、運動量の軽減や湿布などの治療法を選択されることが多いと思います。

しかし、それだけではあまり改善しない、、、と悩まれている方もみえると思います。

シンスプリントも画一的な治療法は無く、あなたに合わせた治療法が大切になります。。

 

なぜシンスプリントになるの?

 

シンスプリントは筋肉に過剰な負担が加わることで起こるという事でしたが、なぜ痛みを引き起こすかを説明していきたいと思います。

 

まずはふくらはぎの筋肉について説明したいと思います。

 

ふくらはぎにはいくつも筋肉がありますが。その中でもシンスプリントに関わる「ヒラメ筋」「長趾屈筋」について説明します。

 

 

「ヒラメ筋」というのはすねの骨の後方に付着して踵に付く筋肉です。

 

 

背伸びをするようにつま先を伸ばすときに使われる筋肉です。

 

 

「長趾屈筋」という筋肉はこれもすねの骨の後方から足裏を通って足の指に付く筋肉です。

 

これは指先を曲げる時に使われる筋肉です。

 

この二つの筋肉は脛骨の後方に付着する筋肉になります。つまりふくらはぎですね。

 

シンスプリントの方はこの筋肉に過度な負荷が加わり続けることで、付着部の脛骨の後方の骨膜に負担が加わり痛みが生じます。

 

 

痛みが出る人と出ない人の違いは?

 

ヒラメ筋や長趾伸筋が関係しているという事を書きましたが、ではなぜこの筋肉に負担がかかるのかシンスプリントになる人とならない人では何が違うのかを説明したいと思います。

 

 

偏平足による捻じれストレス

 

たびたび悪者にされる偏平足ですが、このシンスプリントにも偏平足が関係しています。

偏平足というのは足首にある距骨という骨が内向きに倒れている状態になります。

 

 

距骨は下腿と呼ばれる脛骨と腓骨にしっかりとはまり込んでいる構造になっています。その為、距骨が内向きに倒れるとそれにつられてすねの骨も内向きに捻じれる構造になっています。

 

 

 

この捻じれストレスというのは厄介で人間の身体はこの捻じれストレスに弱くなっています。

簡単に言うとすねを雑巾絞りのように捻られているような状態です。

 

内向きに捻じれるとなぜシンスプリントになるかということですが、

シンスプリントは筋肉の牽引力で骨膜に負荷が加わるという事ですが、牽引力というのは筋肉が引き伸ばされることでより強くなります。

 

「ヒラメ筋」「長趾伸筋」が引き伸ばされる動きは2つあります。

 

1つ目はすねの骨が前方に倒れる動き。

すねの骨が前方に倒れる(アキレス腱のストレッチのような動き)ことで後方にある筋肉は引き伸ばされます。

 

 

2つ目はすねの骨が内向きに捻じれる動きです。

ヒラメ筋や長趾屈筋は内側から上外方に走行する筋肉になるのですねが内向きに捻じれることで引き伸ばされる方向に力が加わります。

 

 

筋肉というのは引き伸ばされるとそれに耐えるように力が入るので、付着部にはさらに牽引力が加わります。

これがシンスプリントになりやすい方の特徴です。

 

歩くや走る時、ジャンプの着地動作などの動きではスネの骨が前方に倒れる動きが入ります。

偏平足の足の場合はそれに加えて内向きの捻じれるような動きが入るため、より強く筋肉が引き伸ばされるという事です。

 

この二つの力が同時に加わることによって、骨膜に痛みが生じます。

 

偏平足の原因

 

偏平足がすねの捻じれを引き起こすというお話をしましたが、その偏平足の原因になりやすい足首の問題と股関節の問題について書いていきます。

 

足首が原因のすねの捻じれ

 

まずは足首の硬さから説明していきます。

足首と言ってもアキレス腱のストレッチではありません。今回はその隣にある腓骨筋というアキレス腱の横を通っている筋肉です。

 

 

この筋肉はメジャーな筋肉ではありませんが、偏平足の方はこの筋肉が硬くなっている方が多いです。

この筋肉は後方から見た時に踵の外側(外くるぶしの後方)を通ります。

 

 

腓骨筋が硬くなるとアキレス腱のストレッチをするようにすねを前方に倒すときにこの腓骨筋が邪魔になり真っ直ぐ前方に倒れずに、すねを内向きに捻りながらしか倒せなくなります。

 

 

このように腓骨筋が硬くなると偏平足の原因になり、シンスプリントになりやすくなります。

 

 

股関節(骨盤)が原因の捻じれ

 

次に股関節の問題を説明したいと思います。

足首の硬さが偏平足に繋がるというお話をしてきましたが、偏平足が骨盤にある場合もあります。

 

どういった場合に扁平足になるかというと歩いた時に骨盤が横に揺れるような歩き方の人は偏平足になりやすくなります。

 

 

骨盤が横に揺れるとつられて太もも、すねが外側に倒れるようになります。

 

すねが外側に倒れるとそのまま距骨が内向きに捻じれてしまうため、骨盤の動きで偏平足になる方もみえます。

これが骨盤の揺れによっても引き起こるという事です。

 

これは逆に扁平足が原因で骨盤の横揺れが起こる場合もあります。

どちらが先かは難しいですが、横揺れが扁平足を引き起こす事もあるという事ですね。

 

 

シンスプリントの改善方法

 

扁平足とシンスプリントの関係を説明してきましたが、ここからは治療方法ですね。

 

今回は上記でも説明した、足首の硬さと股関節の硬さから起こる偏平足の場合の治療法について書きたいと思います。

 

足首の硬さ由来の偏平足の改善方法

 

まずは足首の硬さに問題がある場合ですね。

扁平足には腓骨筋群の硬さが関係しているお話をしましたが、ここではそのリリースの方法ですね。

 

腓骨筋は外くるぶしの後方を通る筋肉になります。

 

なので外くるぶしの後方を指もしくは筋膜リリースのローラーなどをお持ちの方はローラーを使ってゴロゴロと転がしてリリース(ほぐし)してみて下さい。

 

 

 

これを1日2分〜3分程度行って頂くと足首由来の扁平足が徐々に改善されて、シンスプリントの痛みも改善していくと思います。

 

 

骨盤(股関節)の硬さ由来の偏平足の改善方法

 

次に骨盤の横揺れ、つまり股関節の硬さが原因の扁平足の改善方法を説明したいと思います。

 

簡単なチェック方法としては開脚をしたときにシンスプリント側もしくは痛みが強い側と足が開きにくい方が一致している場合は股関節由来の可能性もあるのでこちらもやって頂いた方が良いと思います。(あぐらの姿勢で股関節が開きにくい方でチェックをして頂いても大丈夫です)

 

少し極端ですが、このように確認して頂いても大丈夫です。

 

チェックで硬かった方は内ももの内転筋という筋肉が硬くなっている可能性が高いです。

 

 

 

内転筋もいくつかありますが、ザックリこの辺りという場所を覚えて頂ければ大丈夫です。

 

この内ももの部分を少し股関節を開いた状態で上から押さえてゴロゴロしている筋肉を探してみて下さい。

見つけたらそれを横断するように指でリリースして(ほぐし)みて下さい。

 

 

筋膜リリースのローラーを持っている方はうつ伏せで股関節を開いて内ももに当てながらゴロゴロと転がして下さい。

 

 

ローラーの場合は痛みを強く感じるかもしれませんが、リリースされるとその痛みも弱くなってくるので、最初は少し我慢して続けてみて下さい。

 

リリースは休憩を入れながら2分〜3分程度を目安にしてもらうと良いと思いますので、一度試してみて下さい。

 

おまけ

 

ここからはシンスプリントに関するちょっとしたお話です。

 

何を意識して走ったらいいの?

シンスプリントになる方の多くが陸上競技かバスケやサッカーなどで練習で走る練習が多い方に起こりやすいです。

 

ではその走るときにどんなことを意識したらいいのかを説明したいと思います。

ここでは細かいことではなく感覚的な話になるので、少し意識してみて下さい。

 

走り方はシンプルです。

つま先に体重がかかるように身体(体幹)をいつもよりも前傾にして走ってみて下さい。

 

踵に体重が乗るとその分足のアーチが下がりふくらはぎの骨や筋肉に捻じれストレスが加わりやすくなるので、体重をいかに前方(つま先)に早く乗せてあげるかが大事になってきます。

 

これで痛みがなくなるわけではないですが、どうしても大会が近く練習が休めない、再発予防のために何かできることがないかと探している方はこれを意識して頂くと良いと思います。

 

 

疲労骨折になる人との違い

 

ここはおまけ程度の個人的な見解です。

 

シンスプリントと似たような場所に出る痛みで疲労骨折というものがあります。

 

なんとなく聞いたことはあるかもしれませんが、1度の外力で骨が折れてしまうわけではなく、繰り返しの力が加わり骨がミシミシと折れてしまうケガです。

 

このシンスプリントになる人と疲労骨折になる人の違いはどこなんだろうと考えていた時期がありました。(今でも模索中ですが。)

 

これもたまたまではなくどこかに違いがあると思っています。

 

今のところの見解は両方とも後方重心(踵重心)が問題であることは変わりないと思うのですが、疲労骨折になりやすい方は踵の中でもより後方に体重かかかっているケースが多いと思います。

ポイントはくるぶしよりも前方か後方というところだと思っています。

 

なぜかというとくるぶしよりも前方に体重がかかれば、すねの骨が前方に倒れようとするのでそれを止めるようにふくらはぎの筋肉が働きます。

つまり筋肉と骨で体重を受け止めているような状態です。

 

これがくるぶしよりも後方になるとふくらはぎの筋肉がは働きにくくなるため、体重を骨のみで受け止めないといけない状態になります。

 

これがシンスプリントと疲労骨折の人の差ではないのかなと今は考えています。

 

シンスプリントと疲労骨折では治療期間やスポーツの休止期間が変わるので、出来ればせめてシンスプリントにとどめておきたいというのが正直なところですね。

 

姿勢が悪くなればなるほど後方重心にはなりやすくなるので、シンスプリントや疲労骨折にならない為にも、普段の姿勢を気を付けておく必要があるという事ですね。

 

 

まとめ

今回はシンスプリントの原因と治療法について書いていきました。

 

再発を繰り返してこのシンスプリントに悩まされている方も多いと思います。

 

今回説明したような根本的な原因を見つけたうえで治療を行う事で再発に悩まされることも無くなると思います。

 

痛みの原因を取り除くことはパフォーマンスアップにもつながるので、スポーツの休止だけでなく、こういった治療法に少しでも目を向けて頂ければ幸いです。

 

本日は長文を最後までお読み頂き本当にありがとうございます。

 

柔道整復師  服部 耕平

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