交通事故後の首の痛み「むち打ち」でお困りの方へ。
こんにちは。
愛知県豊明市にある、HK LABOの服部 耕平です。
現在までに整形外科専門病院、デイサービス、トレーナー活動で様々な痛みでお困りの方の施術をさせて頂きました。
姿勢や歩き方などの動作から一人一人の方の痛みに合わせた治療をおこなっております。
今回は交通事故の患者に多いむち打ちについて書いていきたいと思います。
このむち打ちで整形外科や接骨院を受診すると原因を首の骨のズレやストレートネックという事を言われることがあります。
しかし、むち打ちの痛みはストレートネックや骨のずれではなく、筋肉や筋膜に原因がある事が多いです。
今回はなぜ交通事故によって首の痛みが出るのか、その原因と治療法について書いていこうと思います。
Contents
むち打ちとは
一般的にむち打ちとは何かという事を説明したいと思います。
むち打ちというのは交通事故などの衝撃で首が揺さぶられて起こる症状を総称したものです。
むち打ちの中にも
- 頚椎捻挫型
- 神経根症状型
- バレ・リーウー型
- 混合型
- 脊髄症状型
などがありますが、ほとんどの場合は骨や神経にハッキリとした損傷がなく、レントゲンやMRIなど目立った所見が見つからない頚椎捻挫型になります。
ストレートネックを理由にされる事も多いですが、実際に事故の衝撃でストレートネックになる事はありません。
ストレートネックが根本原因であるのであればもっと以前から痛みが出ているはずです。
多くの場合は元々ストレートネックの人が交通事故の衝撃により頸椎捻挫型のむち打ちになっています。
ストレートネックは首や肩の柔軟性の低下や普段の姿勢が悪くなる事で徐々に首の形が悪くなっていくので、むち打ちに限らず寝違えなど首の痛みが出やすくなるのは事実ですが、過剰に心配する必要はありません。
基本的にはその都度、その症状に対しての治療を行えば十分だと思います。
むちうちの症状
むちうちの症状としては
☑ 左右を向くと首に痛みが出る
☑ 上を向いたり下を向くと首に痛みが出る
☑ 腕や指の感覚が鈍くなったり、痺れが出る
☑ 肩や腕の倦怠感が取れない
などの症状でお困りの方が多いと思います。
さらにむちうちの症状は事故直後ではなく、後から症状が出ることもあります。
これは事故による筋肉や関節への影響が筋肉痛のように後日出てくる事があるという事が一つと、事故直後は気が動転していて落ち着いてから痛みを感じるという事があるためです。
どちらにしても事故の時は、このような症状が出ないか注意をしておく必要があります。
首の骨と筋肉
痛みの原因ついて説明する前に首の骨や筋肉について説明したいと思います。
むち打ちなどでお困りの方で頸部のストレッチやマッサージでは症状が変わらない人もここから紐解いていくと、なぜ首への直接的な治療では症状が変わらないか分かってもらえるのではないかと思います。
首には頸椎と呼ばれる骨が7つあります。
この7つの頸椎は4番目を頂点とした前方に湾曲した方になっています。
1つ1つの頸椎が前後に動くことで上下を、左右に回旋することで左右に向けるような構造になっています。
全てをここで説明することはできないので、今回のむち打ちに関係しやすい筋肉の説明をしたいと思います。
むちうちには「僧帽筋」と「肩甲挙筋」と呼ばれる筋肉に負担が加わっている事が多いです。
僧帽筋は後頭部や頸部から肩甲骨や鎖骨に付く大きな筋肉になります。
肩甲挙筋は僧帽筋と比べると細い筋肉になりますが、似たような位置にあり首の骨から肩甲骨に付いている筋肉になります。
むち打ちや寝違えのような痛みでよく痛くなるのもこの辺りが多いのではないでしょうか。
いずれにしても肩甲骨についているというのは1つのポイントになります。
細かな部分は覚えなくても良いですが、ここはちょっと頭の片隅に入れておいて下さい。
なぜむちうちになるのか
先程、僧帽筋と肩甲挙筋の説明をしましたが、ここではなぜむち打ちになるのか、なぜこの筋肉に痛みが出るのかという事を説明したいと思います。
まずむち打ちになる方の多くは肩甲骨の位置が悪くなっています。
悪くなっているというのは通常の位置よりも下がっていたり(下制)、背骨から離れて前方に開いている(外転)という事です。(いわゆる猫背ですね)
個人的にはこれは事故の衝撃によって悪くなるというよりは、元々肩甲骨の位置が悪くなっている状態に、さらに力が加わることでむち打ちになる方が多いと思っています。
では、肩甲骨が位置が悪くなるとなぜむち打ちになりやすくなるのでしょうか。
ここで関係してくるのが先ほど説明した「僧帽筋」「肩甲挙筋」といった筋肉が肩甲骨についているという事です。
肩甲骨が下がったり、前に開いてしまうとこれらの筋肉が引き延ばされます。
この状態で追突などの衝撃で首を大きく振られるとこの引き伸ばされている筋肉がさらに引き伸ばされる事になります。
もしくはこの引き伸ばされた筋肉が可動域の制限を作り、可動域以上に動かそうとすると痛みが出ます。
こういったことを考えると痛い部位をほぐしたりストレッチをすることよりも、この肩甲骨の位置を正常に戻す事の方が重要だという事が少しはご理解頂けるのではないでしょうか。
次の項ではこの悪くなった肩甲骨の位置をどのように正しい位置に戻すかを説明していきます。
症状別の原因と治療法
先程もお話ししましたが、ここからは肩甲骨の位置の戻し方をタイプ別に説明したいと思います。
骨の位置がズレていると言っても、悪い位置に引っ張っているのは筋肉になります。
ここは様々な見解があると思うので個人的にはという事ですが。
その為、筋肉を緩めていけば自然と元の位置に戻るので、あとはどこの筋肉を緩めれば良いのかという事が分かればご自身でも元の位置に戻せるので参考にしてみて下さいください。
下を向くと痛みが出る
原因は?
まずは下を向くと首に痛みが出る方の原因を説明したいと思います。
下を向くと痛みの出る方の多くは肩甲骨が下(後ろ)に下がっている方が多いです。
先ほども説明しましたが、肩甲骨が下に下がると僧帽筋や肩甲挙筋は下に引っ張られて引き延ばされます。
さらにこの状態で下を向くとこれらの筋肉は限界を超えて引っ張られることになるため、それ以上引き延ばされないように痛みを出すわけです。
この場合は痛みを出している筋肉を直接ほぐすというよりも肩甲骨の位置をあげてゆとりを持たせることの方が大切という事がイメージ出来るのではないでしょうか。
治療法は?
では、こういった肩甲骨が下がってしまっている場合はどこをほぐすと良いのでしょうか。
肩甲骨を下げてしまう原因の一つが三角筋と呼ばれる肩に付いている筋肉です。
その三角筋の中でも肩甲骨についているのはこの後部繊維と呼ばれる肩の後方部分になります。
このような形で肩甲骨の後方に下からついていますので、三角筋の後方が硬くなると肩甲骨を下外側に引き下げます。
そのため、戻し方としてはこの筋肉の柔軟性を正常に戻すために三角筋の後方部分をほぐしてあげれば大丈夫です。
ほぐし方としては反対の手を写真の様に肩の後ろに回して、指でゴロゴロとほぐしてみて下さい。
これだと強く圧をかけられないという方はテニスボールや野球ボールを使って寝た状態で肩の後方にボールを置き、ボールが軽く転がるように肩を動かしてみて下さい。
このような感じですね。
このように2分~3分程度を目安に毎日ほぐしていくと徐々に肩甲骨の位置が戻り下を向いた時に痛みも軽減していくのではないかと思います。
上を向くと痛みが出る
原因は?
先ほどとは逆に上を向く時に痛みが出る方の原因を説明したいと思います。
これには大胸筋と呼ばれる胸の筋肉が関係していることが多いです。
大胸筋が硬くなると腕が前に引っ張られるので、一緒に肩甲骨が外に開いていわゆる猫背と呼ばれるような姿勢になります。
本来、上を向くためには首の骨だけではなく、鎖骨が上方に持ち上げられる動きや胸椎と呼ばれる背骨も一緒に動く必要があります。
しかし、この大胸筋が硬くなると肩甲骨が開き、鎖骨が下に引っ張られ、背骨は丸くなってしまいます。
この状態で上を向こうとすると首の骨だけで頑張らなくてはいけません。
首だけで頑張ると首の筋肉が過収縮となったり、首の骨が過剰に動き骨の後方がぶつかります。
本来、4人で一緒に持ち上げるものを3人がさぼっているような状態です。
これでは頑張っている一人に負担がかかりすぎてしまいますよね。
上を向くと痛みが出るというのは、まさにこの状態なのです。
なので、首の骨をさらに頑張らせるのではなく、鎖骨や肩甲骨の動きを正常に戻して首の負担を減らしてあげた方が原因解決になると思います。
治療法は?
それではその肩甲骨や鎖骨の動きの邪魔をしている、大胸筋をどのようにほぐすかを説明したいと思います。
これはそれほど難しくはありません。
反対側の手で鎖骨の下あたりを少し強めにさするようにゴロゴロとほぐしてみて下さい。
手でも十分できるとは思いますが、もしボールを使いたい方は掌でボールを同じように向けに押し付けながらゴロゴロと転がして頂くと良いと思います。
先ほどと同じようにこちらも2分~3分程度を目安に毎日ほぐして頂くと徐々に肩甲骨や鎖骨の動きが変化して、痛みが軽減してくると思います。
ここがほぐれてくると猫背などの予防にもなるので一度試してみて下さい。
まとめ
今回は交通事故後のむち打ちなどの首の痛みについて書きました。
交通事故後の痛みで電気のみの治療や患部のみの治療でこれでいいのかと疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。
そういった治療で症状が改善される方もみえると思うので、それであれば問題ないと思います。
しかし、症状が一向に改善されていない場合は、このような評価の元の治療が必要かもしれません。
もちろんこれが全てではありません。
今回説明したケースとは反対に下を向くときの痛みでも前胸部をほぐしたり、逆に上を向く際の痛みでも肩後方をほぐすケースもあります。
大切なのは今の状態を評価して問題点を見つけてから治療を行う事です。
交通事故後の治療は痛みが残るととそこから数年後に痺れなどが出てくることもあります。
そういったことにならないように原因を見つけて完治させることが大切です。
症状があまり改善されずにお困りの方は一度試してみて下さい。
本日は長文を最後までお読み頂き本当にありがとうございます。
柔道整復師 服部 耕平