成長期の膝の痛み「有痛性分裂膝蓋骨」でお困りの方へ。②
こんにちは。
愛知県豊明市にある、HK LABOの服部 耕平です。
現在までに整形外科専門病院、デイサービス、トレーナー活動で様々な痛みでお困りの方の施術をさせて頂きました。
姿勢や歩き方などの動作から一人一人の方の痛みに合わせた治療をおこなっております。
はじめに
今回は以前に紹介した「有痛性分裂膝蓋骨」の続編を紹介したいと思います。
有痛性分裂膝蓋骨(以下、分裂膝蓋骨)の概要や原因を細かく知りたい方はこちらをご覧ください。
概要なども簡易的に説明しますが、今回は以前のお伝えしたリリース方法では治らなかった方に向けて解説をしたいと思います。
Contents
はじめに
まずは簡易的に前回の内容を復習しようと思います。
分裂膝蓋骨は本来一つの膝蓋骨ですが、何らかの理由で2つ以上に分裂する疾患を言います。
特に上記の写真のⅢ型である上外側の分裂が多いと言われています。
症状は
- 走ると痛い。
- ジャンプすると痛い。
- しゃがむと痛い。
- 立ち上がる時に痛い。
- 膝の曲げ伸ばしで痛い。
などがあります。
何らかの理由というのは外側広筋と呼ばれる筋肉に過度に負担がかかることで外側広筋が付着している上外側部分に亀裂や分裂が生じます。
これを改善するためにはO脚を改善する必要があり、それには内転筋の筋膜リリースが必要という説明をしました、
今回はこれではよくならなかった方へ、どうしたらいいのかという事を書いていこうと思います。
なぜ改善しなかったのか
以前の内容は太ももの向きに着目して原因を説明しました。
簡単に言うと太ももの捻じれ(がに股)が原因のケースを紹介しました。
しかし、分裂膝蓋骨の原因はがに股だけではありません。
膝の屈曲に問題があるケースもあります。
前回の筋膜リリースで効果が出なかった方は、この膝の屈曲に問題があるかもしれません。
膝屈曲不良による分裂膝蓋骨
まず膝の屈曲というのは膝を曲げる動きです。
この太ももの前面には大腿四頭筋と呼ばれる筋肉があります。
膝を曲げる際にはこの大腿四頭筋が引き伸ばされます。
これはイメージしやすいと思います。
スポーツをやっている人はこんなストレッチをやったことある人も多いのではないでしょうか。
このストレッチで太もも前面に伸張感を感じるのはこの筋肉が伸ばされているからですね。
では、膝の屈曲がきれいに出来ていないというのはどのような状態なのか。
これを説明したいと思います。
大腿四頭筋は一つの塊のように見えますが、名前の通り4つの筋肉が組み合わさっています。
さらにこの下にも「中間広筋」と呼ばれる筋肉があります。
膝を曲げる時にはこの4つの筋肉が引き伸ばされることになります。
しかし、この4つの筋肉の柔軟性に差がある場合どうなるでしょうか。
今回は4つだとややこしくなるので、「内側広筋」と「外側広筋」で説明したいと思います。
例えば、外側広筋よりも内側広筋の方が硬い場合。
このケースで説明したいと思います。
内側広筋が硬いまま膝を曲げていくと途中で止まると思われるかもしれません。
しかし、そうではありません。
この状態で膝を曲げると内側の屈曲は内側広筋により止まりますが、外側は外側広筋に止められるまでは曲がります。
これが問題で、この場合に負荷がかかっているのは硬さのある内側広筋ではありません。
柔らかいはずの外側広筋になります。
筋肉は硬い方ではなく、柔らかく引き伸ばされる方に負担が集中します。
これはどこの関節にも言えることです。
不思議に思われる方もみえるかもしれませんが、厳密に言うとこういったケースはまっすぐ膝が曲がっていません。
今回のケースは内側が固まっているので、外側だけ曲がって下腿が内に向くように曲がっていきます。
これによってより外側広筋が必要以上に伸張されます。
これが前回の分裂膝蓋骨とは違う、屈曲制限によって起こる分裂膝蓋骨です。
このケースの場合に内転筋の筋膜リリースを行っても効果が出ません。
内側広筋の筋膜リリース
これらを踏まえて内側広筋の筋膜リリースの方法を説明します。
改めて内側広筋は膝の上内側に位置しています。
この部分を指で圧迫しながらグリグリとほぐしていきます。
ローラーをお持ちの方はこのようにゴロゴロとほぐしてみて下さい。
内側広筋が原因であればほぐした後に膝を曲げたり、しゃがんでみて痛みが軽減されるはずです。
最後に
今回は前回とは違う分裂膝蓋骨の原因と解決方法を解説しました。
分裂膝蓋骨に限らずその疾患も治し方は一つではありません。
人それぞれの治し方があります。
なので、今回の内容でももしかしたらまだ治らない方もみえると思います。
ただ、治し方はあるはずなので諦めないでください。
以前も書きましたが骨が割れている(分裂)ので、本人や親御さんは驚かれるかもしれません。
その状態で手術しかない医師から言われると、そう思われるかもしれんが実はそうではありません。
むしろ個人的には比較的治りやすい疾患だと思っています。
もちろん手術も治療の選択肢の一つです。
しかし、筋肉の硬さで生じているケースも本当に多いです。
なので、こういった治療法もあると知った上で選択して頂けると良いと思います。
今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
服部 耕平