「横向きで寝ると股関節が痛い」「寝返りで股関節が痛む」とお困りの変形性股関節症の方へ。
こんにちは。
愛知県豊明市にある、HK LABOの服部 耕平です。
現在までに整形外科専門病院、デイサービス、トレーナー活動で様々な痛みでお困りの方の施術をさせて頂きました。
姿勢や歩き方などの動作から一人一人の方の痛みに合わせた治療をおこなっております。
Contents
はじめに
この記事を読まれているあなたは横向きで寝た際や寝返りでの股関節の痛みでお困りだと思います。
変形性股関節症や臼蓋形成不全などの診断をされた方もみえると思います。
このような診断を受けて「骨のせいだから付き合っていくしかないのかな。」を思われている方も多いと思いますが、そうではありません。
寝返りの痛みや横向きでの痛みにも必ず原因があり、解決策もあります。
今回はその痛みの原因と治療法を解説したいと思います。
変形性股関節症の詳細についてはこちらをご参考下さい。
「変形性股関節症」と言われて、歩行時の股関節外側の痛みでお困りの方へ。
「変形性股関節症」と言われて、歩行時の股関節前方の痛みでお困りの方へ。
横向き、寝返りってどんな動き?
横向きや寝返りと言いますが、実際にはどのような動きになるのか説明していきます。
寝返りいろいろな向きがありますが、今回は実際に多い仰向けから横向きへの寝返りの説明をしたいと思います。
その為、寝返りと言っても実際には横向きが問題という事です。
横向きというの「股関節を閉じる」という動きと「内向きに捻る」という動きの二つが組み合わさっています。
「股関節を閉じる」というのは股関節の内転と言います。
「股関節を内に捻る」動きは内旋と言います。
例えば右股関節に痛みがあるとします。
その状態で右を上にして横向きになった際は股関節を閉じて、やや内向きに捻じれる(膝が下を向く)と思います。
この動きが股関節の内転・内旋と呼ばれる動きです。
この内転・内旋でなぜ痛みが出るのかという事が今回の痛みの解決のポイントになると考えています。
なぜ痛みが出るのか
ではなぜこの内転、内旋と呼ばれる動きで股関節に痛みが出るのか。
それは可動域が足りていないからです。
どの関節にも言えることですが、可動域が低下つまり関節が硬くなった状態でそれ以上に動かそうとすると痛みが出ます。
あぐらをかけない人の膝を上から押すと股関節に痛みが出ると思います。
それと同じことが起きているという事です。
もちろん寝ている時は誰かに押されているわけではないですが、重力によって下向きの力が働き、軽度のではありますが内転、内旋方向に押されているような力が働いています。
変形性股関節症などの方は股関節周りの硬さが強い方が多いため、それぐらいの力でも関節には負担がかかり痛みが出るという事です。
ちなみに下側の股関節が痛い方もベッドや床に押されて同じように内転・内旋位となるのでこの可動域が問題になっている事が多いです。
内転・内旋の制限をする筋肉
では、内転・内旋がどの筋肉によって制限されているのかを説明していきます。
これさえわかればあとは制限をしている筋肉を筋膜リリースで緩めていくだけになります。
今回、紹介する筋肉は2つあります。
一つ目は殿筋です。
細かく紹介すると「大殿筋」「中殿筋」と呼ばれる筋肉です。
これら筋肉は股関節を外に開く筋肉になります。
内転・内旋とは逆の作用の筋肉です。
特に中殿筋の位置を見て頂いてもここ硬くなると股関節が閉じにくくなるようにイメージができるかと思います。
もう一つの筋肉は「内転筋(群)」です。
この筋肉は内ももについているので硬くなっても足を閉じる邪魔にはならないと思われるかもしれません。
確かに内転の邪魔はしにくい筋肉です。
しかし、内転筋は股関節を外に捻る「外旋」の作用があります。
この外旋作用が強いため、硬くなると内旋の制限になり股関節を閉じにくくします。
特に恥骨筋と呼ばれる内ももの上の方が硬くなっていることが多いです。
この筋肉を緩めていけば段々と内旋可動域が出てくるので、寝返りや横向きになっても痛みが無くなってくると思います。
横向き、寝返りの痛みの改善方法
ここからは殿筋と内転筋の筋膜リリースの方法を説明したいと思います。
大殿筋・中殿筋の筋膜リリース
大殿筋や中殿筋はお尻に幅広く付いている筋肉になります。
準備して頂くものは筋膜リリース用のボール、もしくは硬式や軟式の野球ボールです。
仰向けや座った状態でお尻の下にボールを置いて体重をかけて下さい。
体重で圧をかけながらお尻でボールをグリグリとほぐすように転がします。
今回は特に内転の制限をかけやすい外側(中殿筋)を中心に緩めていくと良いと思います。
内転筋の筋膜リリース
次は内転筋です。
内転筋は太ももの内側にありますが、今回は寝返りや横向きでの痛みのある方は股関節に近い部分に硬さがあることが多いです。
この部分はローラーでは筋膜リリースしにくいので手でリリースする事をお勧めします。
このようにあぐらのかくように股関節を開いた状態で股関節に近い部分を触ってみて下さい。
この部分にピンと張った筋肉を感じると思います。
これを横断するようにゴリゴリとほぐしていきます。
写真は座った状態ですが、完全に寝た状態の方がより分かりやすいかもしれません。
筋膜リリースの前後で内旋の可動域を自分で確認して頂くとしっかりとリリース出来ていれば内側に捻りやすくなるはずです。
早く痛みを無くしたい方へ
今回、紹介した内容は痛みは改善されますが、改善されるまで少し時間がかかります。
とにかく早く「痛みなく寝られるようにしたい。」という方もみえると思います。
そんな方は膝の間にクッションを挟んで隙間を作ってみて下さい。
そうすることで内転・内旋の姿勢にならなくて済みますので、痛みだけなくしたいという事であればそれが一番早いと思います。
しかし、それでは根本治療にはならないので、最終的にクッションが無くても痛み無くなれるように今回の筋膜リリースでしっかりと筋肉を緩めて下さい。
最後に
今回は寝返りや横向きで寝た時の股関節痛の解説をしました。
当院は変形性股関節症の方が多いのですが、ほとんどの方が横向きや寝返りで痛みが出ます。
そういった方でもほとんどの方がこういった筋肉を緩めて可動域を改善させることで痛みも改善されます。
ただ変形性股関節症の方は長年の硬さや頑固な硬さがある方が多いので数回でよくなるというものではありません。
しかし、地道にコツコツとほぐしていけばほとんどの場合に改善される痛みなので、このような症状でお困りの方は頑張ったほぐしてみて下さい。
それでも、あまり改善されない方は改善方法は他にもあるので、私たちのようなプロに一度みてもらってください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
服部 耕平