変形性股関節症で「仰向けで寝ると股関節前方(付け根)が痛い」とお困りの方へ。
こんにちは。
愛知県豊明市にある、HK LABOの服部 耕平です。
現在までに整形外科専門病院、デイサービス、トレーナー活動で様々な痛みでお困りの方の施術をさせて頂きました。
姿勢や歩き方などの動作から一人一人の方の痛みに合わせた治療をおこなっております。
Contents
はじめに
今回は仰向けで寝た時に股関節の前方の痛みでお困りの方に向けて解説をしていきます。
横向きで寝ると痛いという方は多いと思いますが、仰向けでの股関節の痛みの方も結構みえます。
睡眠時の痛みというのは不快で、生活の質を下げる大きな要因になると思います。
変形性股関節症の方に多いですが、股関節炎や鼠径部痛症候群(グロインペインシンドローム)の方も股関節前方の痛みでお困りの方もみえると思います。
病名が違うからといって、治し方が変わるわけではありません。
仰向けで寝ている時に痛みが出てお困りの方はぜひ参考にしてみて下さい。
変形性股関節症に関して他の症状でお困りの方はこちらもご参考にしてみて下さい。
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「変形性股関節症」と言われて、歩行時の股関節外側の痛みでお困りの方へ。
「変形性股関節症」と言われて、歩行時の股関節前方の痛みでお困りの方へ。
股関節の構造
最初に股関節の構造を簡単に説明していきます。
股関節は「大腿骨」を言われる太ももの骨と「骨盤」で構成されます。
大腿骨の上部はボール状になっていて、骨盤はそれを受けるように丸いくぼみになっています。
大腿骨が球状になっている事で股関節は可動範囲が大きく自由度の高い関節になります。
変形性股関節症ってなに?
変形性股関節症は股関節のクッションの役割をしている軟骨が擦り減り、臼蓋と呼ばれる骨盤側の受け皿の部分や大腿骨側の骨頭と呼ばれる先端の部分が変形することで痛みや可動域の制限を引き起こす疾患のことを言います。
(画像引用 公益社団法人 日本整形外科学会HP https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/hip_osteoarthritis.html)
「臼蓋形成不全」といって生まれつき骨盤側の受け皿の臼蓋と呼ばれる部分が浅くなっている方など構造的に問題がある人に起きやすいとですが、最近では構造的な問題が無く原因が不明(一次性股関節症)のケースも増えていると言われています。
(画像引用 公益社団法人 日本整形外科学会HP https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/hip_osteoarthritis.html)
変形性股関節症の症状は?
変形性股関節症の主な症状は痛みと可動域制限です。
痛みは歩行時痛や夜間痛、階段昇降での痛み、寝返りの痛み、しゃがんだ時の痛みなどがあります。
可動域制限とは関節が硬くなって目的の動作が出来なくなるという事です。
しゃがめない。靴下が履けない、あぐらがかけない、寝る時に痛みが出るなどがあります。
今回はタイトルにもあるようにその中でも仰向けで寝た時の股関節前方の痛みについて解説します。
仰向けで寝るとなぜ痛みが出るの?
先ほど変形性股関節症の主な症状として可動域制限を挙げました。
この可動域制限が今回のポイントです。
逆に可動域制限を解決すれば今回の痛みも改善されるはずです。
では、どの動きの可動域制限が問題なのでしょうか。
それは「伸展」と呼ばれる脚を後方に伸ばす動きです。
股関節の伸展は正常の可動域は15度と言われています。
上の写真で言うと黒い線と点線の角度が15度という事です。
今回のように股関節の痛みある方もこれぐらいは出来ていると思われている方も多いと思います。
しかし、これが意外と出来ていません。
これは痛みがある方だけではなく一般の方でも股関節の伸展可動域が15度以上ある方は少ないと感じています。
伸展が出来ているように感じていても股関節の硬さを腰を反らして補っていたりします。
特に伸展可動域が0度に満たない方は今回のような仰向けでの痛みが出やすくなります。
0度というのは体の直線上に脚をまっすぐ伸ばした状態です。
つまり仰向けに寝た状態とも言えます。
伸展可動域が0度に満たない方でも仰向けで寝ると脚の重さや重力によって股関節には伸展のストレスが加わります。
無理やり引っ張られている状態ですね。
それによって可動域以上に伸展されて股関節前方の筋肉や軟部組織に伸張ストレスが加わり痛みが出るという事です。
このような方は立位で体を反らそうとしたときにあまり反らせなかったり、股関節や腰に痛みが出る方もみえます。
今回のように仰向けで股関節前方に痛みが出る方で、身体を反らした時にも同じように痛みが出る場合は今回の内容が当てはまる可能性が高いと思います。
つまり股関節伸展制限のある方の仰向けでの痛みはこの股関節の伸展可動域を改善させる必要があるという事です。
股関節伸展の邪魔をしている筋肉は?
では、どの筋肉が股関節の伸展を邪魔しているのかという事を説明します。
これは「腸腰筋」「大腿直筋」「大腿筋膜張筋」「縫工筋」と呼ばれる筋肉です。
股関節の前方にある筋肉は太ももを後方に伸ばす時に突っ張る筋肉になります。
そのため、これらの筋肉が硬くなると股関節伸展可動域の制限になります。
これらの筋肉の柔軟性が改善されれば今回の痛みは緩解するはずなので順番に説明していきます。
まずは「腸腰筋」です。
この筋肉は骨盤や腰椎(腰の骨)から大腿骨の上部に付きます。
この筋肉は股関節の前方を覆うように位置し、股関節屈曲のメインに働く筋肉です。
次に「大腿直筋」と呼ばれる筋肉です。
この筋肉は大腿四頭筋と呼ばれる筋肉の一つで骨盤から始まり、膝の下(脛骨)に付く長い筋肉になります。
この筋肉も股関節の前方にあり、股関節の伸展の邪魔をする筋肉です。
臨床的にはこの大腿直筋が一番伸展の邪魔をしているケースが多いと感じています。
次に「大腿筋膜張筋」と呼ばれる筋肉です。
この筋肉も骨盤から膝下(脛骨)に付く筋肉です。
先ほどの大腿直筋に比べると外側にある筋肉です。
大腿直筋ほどではありませんが、この筋肉も伸展の邪魔をしているケースがよく見られます。
最後に「縫工筋」と呼ばれる筋肉です。
この筋肉も骨盤から膝下(脛骨)に付きます。
しかし先ほどの大腿筋膜張筋と同じ場所から始まりますが、太ももを横断するように内側を走行して脛骨の内側に付きます。
縫工筋も股関節伸展の制限にはなりますが、実際には他の筋肉に比べると伸展制限の原因になっていることは少ないです。
大腿直筋の筋膜リリース方法
紹介した筋肉の中で特に股関節の伸展制限の原因になりやすい「大腿直筋」の緩め方の方法を説明します。
大腿直筋は大腿四頭筋の呼ばれる筋肉の一つで骨盤から膝の下に付く筋肉になります。
筋膜リリースの前に一度立った状態で体を反らしてみて下さい。
この時に腰、臀部、大腿後面に痛みや痺れ、張りが出る方は筋膜リリースの前にどの程度反らせるかを確認してみて下さい。
では筋肉の緩め方です。
大腿直筋は股関節の前方のやや下方で太ももの上の方にあります。
解剖のイラストではこの部分になります。
この部分を指で少し抑えながら横に動かすとゴロゴロとする筋肉があると思います。
これは寝た状態でも座った状態でも構いません。
その筋肉を横断するようにゴロゴロとほぐしてみて下さい。
そしてほぐした後にまた立位で体を反らしてみて下さい。
リリース前よりも痛みが軽減している、もしくは反らせるようになっていればうまく緩められています。
うまく緩められていれば、繰り返し筋膜リリースをすることで立ち上がりの痛みも次第に減ってくるはずです。
今回は大腿直筋の緩め方を紹介させて頂きますが、他の筋肉も基本的には同様の方法で大丈夫です。
場所を変えてその筋肉をゴロゴロと少し強めにほぐしていけば緩んでいくはずなので、大腿直筋ではあまり効果が出ない方も諦めずにほかの筋肉も試してみて下さい。
最後に
今回は【変形性股関節症で「仰向けで寝ると股関節前方(付け根)が痛い」とお困りの方】に向けて解説を行いました。
病名がついていない方の中にもこのような症状でお困りの方もみえると思います。
冒頭にも書きましたが、睡眠というのは生活の質に影響するためお困りの方も多いと思います。
よく枕やマットレスが合わないと思われている方もみえますが、根本的にはこのような身体の問題にあると思っています。
もちろん寝具を変えることも大切ではありますが、なぜ今の寝具だと痛みが出るのかという部分が大切だと思います。
特に今回のような痛みはなかなか整形などでもリハビリをしてもらえるケースは少なく、付き合っていくしかないと思われている方もいると思います。
しかし、このような痛みも痛みの状況を把握しながら、身体のチェックをしていくことで原因は見つけられるはずです。
就寝時や起床時の痛みにお悩みの方は諦めずに身体の専門家に一度ご相談ください。
本日も最後までお読み頂きありがとうございました。
服部 耕平