変形性股関節症といわれた方へ。股関節だけ見ても変わりにくい理由
変形性股関節症といわれて、
「このまま悪くなっていくのかな…」
「歩くと痛いけど、もう仕方ないのかな…」
と不安になっている方も多いと思います。
実際、整形外科でレントゲンを撮って変形を指摘されると、どうしても股関節そのものばかり気になってしまいます。
もちろん、股関節に変形があること自体はとても大切な情報です。
ただ、痛みの出方や歩きにくさは、股関節だけ見ていても変わりにくいことがあります。
なぜなら、股関節には
- お尻の筋肉の使い方
- 骨盤の動き
- 体幹の安定性
- 歩き方
などが大きく関係しているからです。
今回は、変形性股関節症といわれた方に向けて、なぜ股関節だけ見ても変わりにくいのか、
そして自分でできるケアについて、できるだけわかりやすくお伝えします。
Contents
変形性股関節症でも、痛みは“変形だけ”で決まるわけではありません
変形性股関節症では、関節の変形や軟骨のすり減りがみられることがあります。
ただ、同じように変形があっても、
- 歩くと痛い方
- 立ち上がりで痛い方
- 股関節の前が詰まる方
- 横に揺れながら歩いてしまう方
など、困り方は人によってかなり違います。
これは、股関節そのものだけでなく、体の使い方の違いが大きく関係しているからです。
HK LABOでも、股関節の痛みがある方をみる時は、股関節だけでなく、
- 骨盤の位置
- お尻の筋肉が使えているか
- 体幹が安定しているか
- 歩く時に骨盤が横にぶれていないか
といったところまで確認するようにしています。
つまり、変形性股関節症であっても、股関節そのものだけを治療したり、股関節だけを動かしたりするだけでは、変わりにくいケースがあるということです。
股関節の前が痛い方では、お尻がうまく使えていないことがあります
変形性股関節症の方の中には、骨盤前傾位ではあるものの、お尻の筋肉がうまく使えていない方がいます。
そのような場合、本来はお尻で地面を押して前に進みたいところが、
重心は後ろに残ったまま、骨盤だけが前方へ移動するような歩き方になっていることがあります。
さらに、股関節の前方が硬くなっている方では、その状態で歩くたびに前側の組織が無理に引き伸ばされやすくなり、
股関節前方の痛みにつながることがあります。

筋肉には、関節にかかる負担をやわらげるクッションのような役割もあります。
そのため、使える筋肉が少ない状態が続くと、股関節まわりの関節や骨へのストレスが増え、変形を助長する一因になることもあります。
こうした方では、いきなり歩き方を変えようとするよりも、まずはお尻やもも裏を使う感覚を作ることが大切です。
まず行いたいケア① 仰向けでのヒップリフト
最初におすすめなのが、仰向けで行うヒップリフトです。
これは、股関節の前ばかり頑張るのではなく、お尻に刺激を入れて使い方を思い出してもらうための練習です。
いわば、お尻の筋肉への再教育です。
やり方
- 仰向けに寝て、膝を立てます
- 足は腰幅くらいに開きます
- 腰を反りすぎないようにしながら、お尻を軽く持ち上げます
- お尻ともも裏に力が入る感覚を意識します
- ゆっくり下ろします

回数の目安:10回前後を1〜2セット
ポイント
- 高く上げすぎなくて大丈夫です
- 腰を反って持ち上げるのではなく、お尻で持ち上げる意識を持ちます
- 股関節に痛みが出るようであれば無理はしないでください
仰向けでお尻を使えるようになってくると、この後の立ち上がり動作にもつなげやすくなります。
次の段階として行いたいケア② 椅子を使ったヒップリフト
仰向けでのヒップリフトがやりやすくなってきたら、次は椅子を使った練習につなげていきます。
これは、お尻を使う感覚を立ち上がりに近い動きへつなげるための練習です。
骨盤前傾位で大殿筋を働かせやすくし、最終的には立ち上がりや歩行で地面を押す力へつなげていくことが目的です。
やり方
- 椅子に座り、膝を90度くらいに曲げます
- 背中を丸めすぎないようにしながら、少し前に体を倒します
- 頭の位置を急に上へ持ち上げないようにしながら、お尻を軽く浮かせます
- 「立ち上がる」というより、もも裏とお尻で体を支える感覚を意識します
- ゆっくり戻します

回数の目安:5〜10回前後を1〜2セット
ポイント
- 頭だけ先に上へ上がらないようにします
- 膝だけで頑張るのではなく、股関節を曲げた状態からお尻を使う意識を持ちます
- 前ももばかり張る場合は、無理に回数を増やさなくて大丈夫です
この流れができてくると、その先でスクワットや立ち上がり動作の練習にもつなげやすくなります。
歩くと体が左右に揺れる方では、お尻の横と体幹が大切です
一方で、変形性股関節症の方の中には、
- 歩くと体が左右に揺れる
- 片脚に体重を乗せると不安定
- 立っていると片側に寄ってしまう
という方もいます。
こうした方では、骨盤の横ブレを抑える働きをもつ中殿筋や小殿筋がうまく使えていないことがあります。

(小殿筋は中殿筋の前方)
ここが弱くなると、歩くたびに骨盤が安定しにくくなり、反対側の骨盤も落ちやすくなります。


その結果、支持している側の股関節まわりに負担が集中しやすくなります。
さらに、骨盤を安定させるためには、お尻の横だけでなく、腹斜筋などの体幹の働きも大切です。
そのため、まずは横向きの姿勢で、お尻の横と体幹を使いやすくしていくことが有効です。
まず行いたいケア③ クラムシェル
クラムシェルは、お尻の横、とくに中殿筋まわりを使いやすくするための基本的な練習です。
やり方
- 横向きに寝て、膝を軽く曲げます
- かかとはつけたまま、上側の膝をゆっくり開きます
- 骨盤が後ろに倒れすぎないようにしながら戻します

回数の目安:左右それぞれ10回前後を1〜2セット
ポイント
- 体ごと後ろへ倒れないようにします
- 股関節を大きく開こうとするより、お尻の横に力が入る感覚を大切にします
- 腰に力が入りすぎる場合は、開く幅を小さくして大丈夫です
クラムシェルは、歩行で骨盤が横にぶれやすい方の土台作りとして有効です。
次の段階として行いたいケア④ 膝を曲げた状態でのサイドプランク
クラムシェルだけでなく、骨盤を安定させるためには体幹の働きも必要です。
そのため次の段階としておすすめなのが、膝を曲げた状態でのサイドプランクです。
これは、中殿筋だけでなく、腹斜筋など骨盤まわりを支える筋肉も一緒に使いやすくする練習です。
やり方
- 横向きになり、肘を肩の真下につきます
- 膝を軽く曲げます
- 肘と膝で支えながら、骨盤を持ち上げます
- 体が丸まりすぎたり反りすぎたりしない位置で数秒キープします

目安:5〜10秒を3〜5回程度
ポイント
- 首や肩に力が入りすぎないようにします
- 骨盤を高く上げることより、横腹とお尻の横に力が入ることを意識します
- 痛みが強い日は無理をしないようにしてください
この先は、状態に応じて立った状態での中殿筋トレーニングや体重移動の練習へつなげていきます。
大切なのは、その人の崩れ方に合わせて進めることです
ここまでご紹介したように、変形性股関節症といっても、
- 股関節の前に負担が集まりやすい方
- 骨盤の横ブレが大きい方
では、見るべきポイントが少し変わります。
そのため、「とりあえずストレッチ」「とりあえず筋トレ」では、うまくいかないことも少なくありません。
大切なのは、
どこが硬いか
どの筋肉がうまく使えていないか
歩く時にどんな崩れ方をしているか
をみた上で、必要なところから順番に整えていくことです。
まとめ|変形性股関節症でも、股関節だけ見ていては変わりにくいことがあります
変形性股関節症では、もちろん股関節そのものの状態も大切です。
ただ、痛みや歩きにくさは、それだけで決まるわけではありません。
- お尻がうまく使えず、股関節の前に負担が集まっている方
- 骨盤の横ブレが大きく、股関節まわりに負担がかかっている方
このように、体の使い方によって症状が強くなっていることもあります。
もし、
- 股関節の前が詰まる感じがある
- 歩くと痛い
- 立ち上がりがつらい
- 体が左右に揺れながら歩いている気がする
といったお悩みがある方は、股関節だけでなく、体全体の使い方を見直すことも大切です。
HK LABOでは、股関節の状態だけでなく、骨盤・体幹・歩き方まで含めて確認しながら、その方に合った方法を考えていきます。
気になることがある方は、LINEからお気軽にご相談ください。