階段で膝の内側の少し下が痛い方へ|原因と自宅でできる対処法|豊明市HK LABO
こんにちは。愛知県豊明市二村台にある、HK LABOの服部耕平です。
階段を上るとき、膝の内側から少し下にかけて痛む。歩く量が増えた日は、すねの内側寄りが気になる。
「膝の内側が痛いけれど、関節そのものより少し下のような気がする」
今回は、そのような方に向けて、この場所の構造と痛みが出る理由、生活の工夫、自宅でできるケアを説明します。特に、なぜその筋肉をほぐすのか、なぜ股関節の運動を入れるのかまで、順番にお伝えします。
痛む場所を確認するだけで、病名は決まりません
この記事で取り上げるのは、膝の内側の関節のすき間より数cm下、すねの骨の内側寄りの痛みです。鵞足炎などでみられる場所ですが、別の病気やけがでも似た痛みが出ます。強く押して痛みを探したり、記事だけで自己診断したりしないでください。
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膝の内側の少し下には、何があるのでしょうか
この付近には、「縫工筋(ほうこうきん)」「薄筋(はっきん)」「半腱様筋(はんけんようきん)」という3つの筋肉の腱が集まり、すねの骨である脛骨につながっています。この付着部を「鵞足(がそく)」と呼びます。[1]
3つの筋肉はそれぞれ股関節にも作用し、膝を曲げたり、膝を曲げた状態ですねを内側へ向けたりする動きに関わります。太ももの前を斜めに走る筋肉、内側を通る筋肉、裏側を通る筋肉が、膝の内側の少し下へ集まる、と考えると分かりやすいと思います。
また、その腱と骨の間には「滑液包(かつえきほう)」という、摩擦を減らすための薄い袋があります。腱が動くときの滑りを助ける組織です。[2]
「骨や関節だけの場所」ではありません
この場所には筋肉から続く腱や滑液包もあるため、内側の痛みがすべて軟骨のすり減りによるものとは限りません。一方、筋肉だけが原因とも決めつけられません。
なぜ、階段でこの場所が痛くなるのでしょうか
腱の周囲に、繰り返し負担がかかるため
筋肉が働くと、その力は腱を通して骨へ伝わります。鵞足の周囲でも、歩行や階段で膝を動かすたびに、腱が動き、周囲の組織へ負担がかかります。
階段では、膝を曲げた脚で身体を持ち上げたり、身体が急に落ちないよう支えながら下ろしたりします。平地を歩くときとは違う曲がり方や力のかかり方になり、すでに敏感になっている組織では、こうした動作が痛みのきっかけになることがあります。
この繰り返しの負担や摩擦が関係し、滑液包に炎症が起こることがあります。鵞足部の滑液包炎では、膝の内側の少し下の痛みや圧痛がみられ、階段や運動で痛みが増すことがあります。[1]
例えば、普段より階段を使った、坂道を長く歩いた、運動の回数を急に増やした。痛みが出る前に活動量が変わっていないか振り返ることが、負担を見直す手がかりになります。
筋肉の張りや、脚の使い方も確認したい要素です
鵞足部の痛みには、もも裏の筋肉の硬さや膝の向きなどが関わることがあります。[2]
ただし、「もも裏が硬い人は必ず鵞足炎になる」「膝が内側に入るから痛い」と、見た目だけで原因を決めることはできません。
私が確認したいのは、階段のどの瞬間に痛むか、どのくらい膝を曲げるとつらいか、股関節や足首も一緒に動いているかです。筋肉の状態と、実際の動きの両方を見ていきます。
鵞足炎以外にも、似た痛みが出ることがあります
鵞足周辺の腱や滑液包の炎症は、一般に「鵞足炎」と呼ばれることがあります。ただし、同じ内側の痛みでも、別の組織の問題が関係する場合があります。
内側半月板や靱帯の問題、疲労骨折などと症状が似る場合があるため、診察での確認が大切です。変形性膝関節症との関係も含め、痛む位置だけで見分けるものではありません。[1][3]
ケアの前に、まず痛みを繰り返す場面を減らしましょう
同じ負担を繰り返したまま、マッサージや運動だけを追加しても、痛む場所を休ませる時間が取れないことがあります。まずは、症状を強めている活動を調整します。[4]
- 階段では手すりを使い、荷物で両手をふさがないようにします。つらい日はエレベーターなども活用します。
- 買い物や散歩で痛みが増すなら、長い移動を分け、坂道や階段を使う回数を一時的に減らします。
- 痛い位置を何度も押す、階段を往復して痛みを確かめる、といった刺激を繰り返さないようにします。
活動をどこまで減らし、いつ戻すかは状態によって異なります。「ずっと休む」か「我慢して動く」かの二択にせず、診断や経過に合わせて調整してください。
自宅で試せるケア|それぞれを入れる理由とやり方
このケアを行う前に
痛みや腫れが強い時期、触るだけでも強く痛むとき、熱感があるときは、揉んだり伸ばしたりせず受診してください。以下は急なけがや強い炎症がなく、日常動作ができる方が、状態に合うか確かめるための例です。手術後や運動制限のある方は、担当の医師へ確認してください。
① もも裏の内寄りをやさしくほぐす|痛い付着部を直接押さないために
鵞足に集まる筋肉の一つ、半腱様筋は太ももの裏側を通ります。もも裏の内寄りに張りがある場合は、痛いすねの部分へ強く刺激を加える代わりに、上流にある筋肉の張りを確認します。
マッサージの狙いは、気になる張りを一時的に和らげ、楽に動かせるかを確かめることです。腱の付着部や滑液包の炎症を、揉んで取り除く方法ではありません。
- 安定した椅子に座り、足裏を床につけます。太ももの下に薄いタオルを入れるなどして、脚の力を抜きます。
- 手のひらや指の腹を、太ももの裏側の内寄り、中ほどの柔らかい部分へ当てます。膝裏のくぼみ、痛いすねの部分、脚の付け根は押しません。
- 手で軽く包むように触れ、小さく動かします。痛くない、ごく軽い圧で十分です。
- まずは20〜30秒ほどで切り上げ、平地での数歩など、普段の楽な動作で変化を確認します。
手が届かない場合は無理に身体をひねらず、この方法は省いてください。硬いボールに体重を預けて押し込む必要もありません。
血栓の病気がある方、血液を固まりにくくする薬を飲んでいる方、あざができやすい方などは、マッサージをしてよいか医療者へ確認してください。強い圧にはリスクがあり、受診の代わりにしないことも大切です。[6]
② もも裏を軽く伸ばす|鵞足につながる筋肉の柔軟性を確認するために
鵞足部のケアでは、もも裏などの柔軟性を整えることも選択肢になります。股関節と膝をまたぐ筋肉は、両方の関節の位置によって伸び方が変わります。[4]
ここでは、膝を強く引っ張らずに、太ももの裏側が軽く伸びる位置を探します。狙いは「腱をできるだけ伸ばすこと」ではありません。痛む部分を刺激せず、筋肉のつっぱりを確認することです。
- 仰向けになり、両膝を楽に曲げます。
- 伸ばしたい側の太ももの裏を両手で支え、脚を少し持ち上げます。手は膝裏のくぼみへ押し込みません。
- 太ももの位置を保ちながら、膝をゆっくり伸ばします。太ももの裏が軽く伸びるところで止め、膝をまっすぐにしきろうとしません。
- まずは10〜15秒を1〜2回。息を止めず、ゆっくり元へ戻します。
伸びを感じる場所は、太ももの裏側です。すねの内側の痛い位置が引っ張られる、膝裏が痛い、びりびりしたしびれが出る場合は中止します。
張りが強い=もっと伸ばす、ではありません
強いストレッチは、鵞足につながる腱への刺激を増やすことがあります。伸ばすほど痛い場合は、その時期や方法が合っていない可能性があります。まず負担の調整と状態の確認を優先してください。
③ 横向きで膝を小さく開く|股関節で脚の向きを調整する練習
階段では、片脚に体重を乗せて身体を支える場面があります。そのとき、膝だけでなく、股関節まわりの筋肉も脚や骨盤の位置を調整しています。
この運動は、膝を大きく曲げ伸ばしせずに、お尻まわりの筋肉を使う練習をするために入れます。「お尻が弱いから鵞足炎になった」と診断するためではなく、動作を支える筋肉へ目を向ける選択肢です。
横向きで足を合わせ、上の膝を開く運動は「クラムシェル」と呼ばれます。[5]
- 動かす脚を上にして横向きになり、頭の下に枕を置きます。股関節と膝は楽な角度に曲げます。
- かかとを軽く合わせたまま、上の膝をゆっくり、小さく開きます。
- 骨盤を後ろへ倒さず、お尻の横から後ろに軽く力が入る感覚を確かめます。足首だけを固定して膝をねじる動きにはしません。
- ゆっくり戻します。まずは5回を1セット、休みを挟んで週2〜3日程度から試します。最初はゴムバンドを使いません。
膝の内側が痛む、股関節の付け根が詰まる、腰が痛くなる場合は中止してください。大きく開くことより、身体を後ろへ倒さずに小さく動かせることを優先します。
この運動だけで、階段の動きが必ず変わるわけではありません。痛みが落ち着いてから、実際の階段動作や筋力に合わせた練習へ進めるかを確認していきます。
回数や時間は、少量から試すための目安です
全員に共通する治療量ではありません。3つをまとめて行わず、一つずつ試してください。少量でも痛みが出る場合や、担当者から別の方法を指示されている場合は、そちらに合わせます。
ケアの後、階段を何往復もして確かめる必要はありません
まずは、椅子から一度立つ、平らな場所を数歩歩くなど、もともと無理なくできる動作で、張りや動きやすさを確認します。
その場で少し楽でも、夜や翌朝に痛み・腫れが増すなら、そのケアは中止し、方法や量を相談してください。変化がないからといって、強く揉む、長く伸ばす、回数を増やす必要はありません。
「もも裏の張りは変わったが、階段ではまだ痛い」という結果も、状態を整理する情報になります。筋肉のケアだけでなく、関節の状態や活動量も確認する必要があります。
このような痛みは、医療機関で確認してください
体重をかけられない、膝が引っかかったまま動かない、急に大きく腫れた、赤み・熱感と発熱がある場合は、早急に受診してください。[7]
また、痛みが続く・悪化する、夜間や安静時にもつらい、転倒やひねった後から痛み始めた場合も、鵞足炎と決めつけず整形外科で相談しましょう。けがの後の変形や感覚の異常がある場合は、救急での評価が必要です。
豊明市のHK LABOでは、痛む位置と動作を合わせて確認します
「膝の内側が痛い」から、もう一歩具体的に。「関節のすき間より少し下が痛い」「階段の踏み込みで痛む」「歩く量が増えた日につらい」など、分かる範囲でお聞かせください。
私は、診断や治療の経過を伺い、膝の動き、筋肉の張り、股関節・足首の動き、歩行や階段の動作を、無理のない範囲で確認します。そのうえで、負担の調整、筋肉のケア、ストレッチ、運動を組み合わせて考えます。
まずは痛い場所を強くほぐすのではなく、「どの組織に、どの動きで負担がかかっていそうか」を整理することから始めましょう。病気の診断や検査が必要な場合は、医療機関での確認を優先します。
最後までお読みいただきありがとうございました。
階段で、膝の内側の少し下が痛む方へ
痛む位置と、困っている動作をご相談ください。
愛知県豊明市二村台1丁目4-1|HK LABO
参考資料
- AAOS「Pes Anserine (Knee Tendon) Bursitis」
- Cleveland Clinic「Pes Anserine Bursitis」
- 日本整形外科学会「変形性膝関節症」
- AAHKS「Home Therapy Exercises for Pes Anserine Bursitis」(PDF)
- South Tees Hospitals NHS「The clam」
- NCCIH「Massage Therapy: What You Need To Know」
- NHS「Knee pain」
本記事は一般的な情報とセルフケアの例を紹介するもので、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。