車の乗り降りで脚の付け根が痛い方へ|原因と自宅でできる対処法
車に乗ろうとして脚を上げると、脚の付け根が痛い。座席で身体を回すと、股関節の前側が詰まる。降りて立ち上がる最初の一歩がつらい。
通勤や買い物、ご家族の送迎など、車を使うたびに痛むと、外出そのものが負担になってしまいます。
この記事では、股関節の前側にある「脚の付け根」の痛みを中心に、乗り降りで負担がかかる理由と、動き方の工夫、自宅で取り組めるケアを説明します。
こんにちは。愛知県豊明市二村台にある、HK LABOの服部耕平です。
同じ「車に乗ると痛い」でも、脚を持ち上げるときと、身体をひねるときでは、確認したい動きが異なります。まずは、どこが、どの瞬間に痛むのかを整理してみましょう。
Contents
脚の付け根の、どこが痛みますか?
今回扱うのは、お腹と太ももの境目にある、股関節の前側の痛みです。
「付け根の奥がズキッとする」「前側に挟まる感じがする」と表現されることもあります。
- 片脚を車内へ入れるときに、前側の付け根が痛む。
- 座ったまま膝や身体の向きを変えると、奥が詰まる。
- 長く運転した後、車から降りて身体を伸ばすと痛む。
一方、横の骨の出っ張りが痛い、お尻から脚へしびれが広がるといった場合は、別の要因も考える必要があります。
痛む場所だけで原因を決めることはできません。
痛みを確かめるために、何度もひねる必要はありません
普段の乗り降りで「脚を上げるとき」「回すとき」「立つとき」のどこで痛むかを覚えておくだけで十分です。鋭い痛みを繰り返し再現するテストは控えましょう。
車の乗り降りで、なぜ脚の付け根が痛むのでしょうか?
脚を持ち上げる動きと、身体を回す動きが重なります
股関節は、骨盤のくぼみに太ももの骨の丸い先端が収まる関節です。脚を持ち上げる、横へ開く、ひねるといった動きができます。 [2]
車に乗る際は、脚を上げて足を入れるだけでなく、座席へお尻を下ろし、骨盤や身体の向きも変えます。そのため、一度の動作の中で股関節を曲げる・回す動きが組み合わさります。
例えば、身体が車の外を向いたまま片脚だけを車内へ入れると、その脚と骨盤の向きに差ができます。曲げたりひねったりしたときに痛みが出る方では、この動き方が負担になることがあります。
低い座席や狭い足元では、動きを調整しにくくなります
座席が低い場合や、足元に荷物がある場合は、股関節を深く曲げたり、狭い空間で脚の向きを変えたりする必要があります。
股関節の動きにくさがある方は、その動きを腰や骨盤で補うこともあります。車の高さや乗る側によって痛みが違う場合は、身体だけでなく、乗り降りする環境も確認したいところです。
脚を持ち上げる筋肉の負担も確認します
太ももを持ち上げるときには、股関節の前側にある腸腰筋などが働きます。ただし、脚を上げて痛むからといって「腸腰筋が硬いせい」とは限りません。
自分で脚を持ち上げたときの痛みなのか、深く曲がった位置での詰まりなのか。関節の状態と筋肉の働きの両方を確認し、ケアの方法を考えます。
どのような病気が関係することがありますか?
変形性股関節症
股関節の軟骨や骨などに変化が生じ、痛みや動かしにくさが出る病気です。脚の付け根が痛むほか、靴下を履く、車に乗り降りするといった動作が難しくなることがあります。 [1]
診断を受けている方でも、痛む場面や動ける範囲は人によって異なります。診断名に加えて、現在困っている動作を確認することが大切です。
股関節インピンジメント(FAI)など
大腿骨と骨盤側の形状などにより、動かしたときに通常とは異なる接触が生じる状態です。脚の付け根に痛みが出て、ひねる・しゃがむ動きで症状が強まる場合があります。関節の縁にある「関節唇」に負担や損傷を伴うこともあります。 [2]
ただし、「詰まる感じがある=FAIや関節唇損傷」ということではありません。痛みが続く場合は、整形外科で診察を受けてください。
このほか、筋肉や腱の問題、股関節以外からくる痛みなどもあります。付け根の腫れやしこり、腹痛などがある場合も、自己判断でマッサージを続けず医療機関へ相談しましょう。
まず試したい、車の乗り降りの工夫
痛い動きを繰り返して慣らす前に、乗り降りの順番を変えてみましょう。以下は工夫の一例です。安全にできる方法を選び、股関節の手術後などで動作の指示がある方は、担当の医師・理学療法士の指示を優先してください。
乗るときは、先に座ってから脚と身体の向きを変えます
- 車を安全に停め、足元の荷物を片づけます。周囲に十分なスペースがあることを確認してください。
- 座席に背中を向け、安定した場所で身体を支えながら、先にお尻を座席へ下ろします。動くドアには体重を預けないでください。
- 座った状態で、膝と骨盤の向きをそろえるように、両脚を少しずつ車内へ移します。
- 腕で座面などを支えながら、小さく向きを変えます。片脚を高く持ち上げたり、大きく開いたりする必要はありません。
降りるときは逆に、まず脚と身体を外へ向け、両足が地面について安定してから立ち上がります。両脚をまとめて移す工夫は、股関節症の患者向け資料でも紹介されています。 [3]
この工夫の狙い
片脚を固定したまま身体だけを大きく回す場面を減らすことです。「両脚を同時に宙へ持ち上げる」という意味ではありません。重くて動かしにくい場合は無理をせず、介助や個別の動作指導を受けてください。
座席と足元を整えます
- 調整できる車では、乗り降りの際に座席を少し後ろへ動かし、脚を通す空間を確保します。
- 高さ調整がある場合は、深くしゃがみ込まずに座れる位置を試します。
- 動作を一気に終わらせず、「座る」「向きを変える」「足を入れる」と区切ります。
運転前には必ず、ペダルやハンドルを安全に操作でき、視界・ヘッドレスト・シートベルトが適切になる位置へ戻してください。痛みでブレーキ操作が遅れる、十分に踏めない場合は運転を控えましょう。
自宅でできるケア|動きを整えてから、支える力をつけます
ここからは、試す方法の一例を紹介します。すべて行う必要はありません。鋭い痛みや引っかかりがある動きは避け、まず一つを少量から試してください。
回数は開始時の目安であり、病気や痛みの強さに合わせた個別の処方ではありません。人工股関節の手術後、骨折後、運動制限がある方は、取り組む前に担当者へ確認してください。
① 太ももの前側の張りを、手のひらでやさしくケアします
狙い:太ももの前側に張りを感じる方が、強い刺激を使わず、その部分の緊張感や動かした感じの変化を確かめるための補助的なケアです。関節の変形や関節唇の損傷を治す方法ではありません。
- 背もたれのある椅子に座り、足裏を床につけます。
- 太ももの前側の中央付近に手のひらを当てます。
- 皮膚と表面の筋肉をやさしく動かす程度で、20~30秒ほどなでるように触れます。
脚の付け根のしわの部分を指やボールで深く押すことは避けてください。腸腰筋を狙って、お腹や付け根を自分で強く押す必要はありません。
触れて痛む、内出血しやすい、腫れや熱感がある場合は行わず、張りを感じない方は省いて構いません。
② 仰向けで、かかとを滑らせて股関節を曲げ伸ばしします
狙い:脚全体を宙へ持ち上げず、床やベッドで重さを支えながら、楽に動かせる範囲を確かめます。曲げるほど良いのではなく、前側が詰まる手前で止めることが大切です。
- 仰向けになり、脚を楽な位置に置きます。床への移動が難しい方は、安定したベッドで行ってください。
- 片方のかかとを面につけたまま、お尻へ近づけるようにゆっくり滑らせ、膝を曲げます。
- 脚の付け根が詰まらない範囲で止め、ゆっくり元へ戻します。
- まずは片側3~5回、1日1回程度から試します。
膝を胸に強く引きつけるストレッチは加えません。脚を伸ばすと腰や付け根が痛む場合は、最初から膝を少し曲げた位置で、小さく動かしてください。
③ 低くお尻を持ち上げる運動で、股関節を支えます
狙い:お尻の筋肉などを使って、身体を支える練習をします。乗り降りでは脚を上げる動きだけでなく、座る・立つ動きも必要です。股関節周囲の筋力を保つ運動は、変形性股関節症の対策の一つです。 [1]
- 仰向けで両膝を立て、足を腰幅程度に置きます。
- 息を止めず、足裏で面を押すようにして、お尻を数センチだけ持ち上げます。
- 腰を反らしたり、脚の付け根を無理に伸ばしたりせず、ゆっくり下ろします。
- まずは3~5回を1セット、週2~3日程度から試します。
高さを競う運動ではありません。腰痛、付け根の痛み、太もも裏の強いつりが出る場合は中止してください。起き上がりや寝返りが難しい方は、無理に寝て行わず、相談時に別の運動を検討します。
ケアの前後と、翌日の反応を確認します
椅子から立つ、平らな場所を数歩歩くなど、もともと安全にできる動作で変化をみます。一時的に楽でも、回数を急に増やさないでください。痛みが強まる、歩きにくくなる、翌日まで普段以上の痛みが残る場合は、量を減らすか中止して相談しましょう。
長く運転した後だけ痛む場合は、座り続ける時間も見直します
「乗るときより、長く座ってから降りるときが痛い」という方は、運転時間や休憩の取り方も確認しましょう。
安全な場所で休憩し、無理のない範囲で立つ・少し歩く時間を挟みます。走行中にストレッチをしたり、運転に必要な姿勢を崩したりすることは避けてください。
一律に何分なら大丈夫と決めるのではなく、痛みが強くなる前に休める予定を考えます。用事を一日に詰め込みすぎないことも、試せる工夫です。
このような場合は、セルフケアより受診を優先してください
転倒やけがの後から強く痛む、歩けない・脚に体重をかけられない場合は、早急に医療機関で評価を受けてください。突然の強い痛み、腫れや熱感、発熱を伴う場合も、速やかな受診が必要です。 [4]
痛みが悪化している、繰り返す、睡眠や日常生活に支障がある場合も、整形外科へ相談しましょう。「筋肉が硬いだけ」と考えて、痛い部分をほぐし続けないでください。
豊明市のHK LABOで、一緒に確認したいこと
私が確認したいのは、「股関節が硬いかどうか」だけではありません。どちら側の席に乗るのか、脚を持ち上げるときか身体を回すときか、運転後に痛みが増えるのか。普段の場面を具体的に伺います。
病院での診断や治療の経過を確認し、可能な範囲で股関節の動き、立ち座り、歩き方などを見ながら、身体のケアと動作の工夫、取り組める運動を考えます。診断や検査が必要と思われる場合は、医療機関への相談をお勧めします。
豊明市や大府市、名古屋市緑区などから、通勤や買い物のために車を使う方へ。「外出するたびに付け根が痛い」という困りごとも、そのままお聞かせください。
車の乗り降りで痛む場面を、ご相談ください
「脚を入れると痛い」「降りた直後がつらい」など、分かる範囲で大丈夫です。
愛知県豊明市二村台1-4-1|HK LABO
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参考資料
以下の資料を参考に、乗り降りの動作と対処の考え方を説明しています。セルフケアの手順・開始量は、これらの資料の一律の処方を転載したものではなく、本記事で紹介する控えめな開始例です。
- Berkshire Healthcare NHS Foundation Trust:Hip osteoarthritis
- AAOS OrthoInfo:Femoroacetabular Impingement
- The Robert Jones and Agnes Hunt Orthopaedic Hospital:Hip Osteoarthritis
- NHS:Hip pain in adults
本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や個別の治療・運動指示に代わるものではありません。