膝を伸ばすと膝裏が痛い方へ|原因と自宅でできる対処法
膝をまっすぐにすると、膝裏が突っ張って痛い。椅子から立ったときに伸ばしきれない。歩いて脚を前に出すと、裏側に引っ張られる感じがする。
膝裏が張ると「筋肉が硬いのかな」と考え、強く揉んだり、無理に伸ばしたりしたくなるかもしれません。
ただし、膝裏の痛みは筋肉だけでなく、関節の腫れなどが関係する場合もあります。この記事では、痛みが出る理由と、自宅で試せるケア、受診の目安を説明します。
こんにちは。愛知県豊明市二村台にある、HK LABOの服部耕平です。
今回は、膝のお皿の前側ではなく、膝を伸ばしたときの「裏側の痛み」を取り上げます。同じ場所でも、張り・腫れ・引っかかりでは確認することが異なります。
Contents
どんな場面で、膝裏が痛みますか?
- 椅子から立ち、膝を伸ばそうとすると突っ張る。
- 歩いて脚を前に出したとき、膝裏が引っ張られる。
- 長く座った後、最初の数歩で伸ばしにくい。
- 仰向けで脚を伸ばすと、裏側に張りを感じる。
さらに、太もも裏まで広く張るのか、膝裏の中央が膨らんでいるのか、内側・外側の筋に沿って痛むのかも確認したいところです。場所や感覚を伝えることは役立ちますが、それだけで病名は決められません。
急な腫れや強い痛みがある場合は、先に受診を
片脚のふくらはぎまで急に腫れる、赤み・熱感がある、痛みが急に強くなった場合は、マッサージやストレッチをせず、当日中を目安に速やかに医療機関へ相談してください。血栓などとの見分けが必要なことがあります。息苦しさや胸痛もある場合は、119番へ連絡してください。 [1]
膝を伸ばすと、なぜ裏側が突っ張るのでしょうか?
太もも裏とふくらはぎの筋肉は、膝の後ろを通っています
太もも裏の「ハムストリングス」は、膝を曲げる動きなどに関わる筋肉の集まりです。大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋が含まれ、膝の内側や外側へつながっています。 [2]
また、ふくらはぎの表面にある「腓腹筋」は、膝と足首の両方をまたぐ筋肉です。膝裏は、太もも裏とふくらはぎの両側から筋肉や腱がつながる場所でもあります。 [3]
膝を曲げた位置から伸ばすと、これらの筋肉は引き伸ばされる方向へ動きます。周囲に張りや刺激に敏感な部分がある場合は、この動きで突っ張りや痛みを感じることがあります。
ただし、伸ばして痛いからといって、筋肉が短くなっているとは限りません。痛みを避けるために力が入っている場合や、関節そのものが伸ばしにくい場合もあります。
関節の腫れが、張りや動かしにくさに関係する場合もあります
膝関節に腫れがあると、膝の周りが張り、曲げ伸ばしがしにくくなることがあります。変形性膝関節症では、痛みに加えて、腫れや動き始めのこわばりがみられることもあります。 [4]
この場合は、「硬い部分を強くほぐせば解決する」とは考えず、関節の状態や、歩く量・立つ時間なども含めて見直す必要があります。
張る場所と、原因の場所は同じとは限りません
膝裏に張りを感じても、筋肉、関節の腫れ、痛みによる力みなどが重なっている場合があります。強く押して痛い部分を探すより、腫れの有無と痛む動作を確認することを優先しましょう。
関係する病気・状態には、どのようなものがありますか?
変形性膝関節症
膝の軟骨や骨などの変化に伴い、痛みや動かしにくさが出る病気です。歩くと痛む、休んだ後にこわばる、腫れるなど、症状には個人差があります。膝裏の張りを伴う場合もありますが、診断名だけで痛む組織を一つに決めることはできません。 [4]
ベーカー嚢腫(のうしゅ)
膝裏に液体がたまった袋状の膨らみができる状態です。膝裏の張りや痛み、曲げにくさなどが出ることがあります。成人では、変形性関節症や膝のけがなどを背景に生じる場合があります。 [5]
自分で触って、単なる筋肉の張りと区別することはできません。膝裏に新しい膨らみやしこりがある場合は、医療機関で確認してください。押しつぶしたり、ボールを当ててほぐしたりしないでください。
半月板などの損傷
ひねった後から痛みが出た、膝が引っかかって動かない、急に伸ばせなくなった場合は、半月板など関節内部の問題も考える必要があります。 [6]
「伸ばすと痛い」と「途中で引っかかり、それ以上動かない」は分けて考えます。後者では、伸ばす練習を繰り返す前に整形外科へ相談してください。
膝裏が痛いときに、避けたいケア
- 膝裏の中央に指や硬いボールを押し込む。
- 膝の上から手や重りで押して、無理に伸ばす。
- 痛みを我慢して、反動をつけるストレッチをする。
- 腫れや熱感があるのに、強く揉み続ける。
膝裏には筋肉や腱だけでなく、血管や神経も通っています。「奥を強く押さないと効かない」と考える必要はありません。
膝を伸ばせることは日常動作に大切ですが、痛い方向へ力で押し込むこととは別です。まずは、無理なく動かせる範囲から取り組みましょう。
自宅で試せるケア|周囲をやさしく整えて、小さく動かします
以下は、急な腫れ・熱感・けが・引っかかりがなく、無理なく動ける方が試す方法の一例です。膝裏の膨らみや原因不明の腫れがある方は、先に医療機関で確認してください。
手術後や運動制限がある方は、担当の医師・理学療法士の指示を優先してください。すべて行う必要はなく、一つずつ少量から試します。
① 太もも裏の筋肉を、手のひらでやさしくケアします
なぜ行うのか:太もも裏に張りを感じる方が、その部分の緊張感や動かした感じの変化を確かめるための補助的なケアです。膝裏そのものを押さずに行います。
- 安定した椅子に座り、足裏を床につけます。
- 片方の太もも裏の中央付近に手のひらを当てます。手が届きにくければ無理に行わなくて構いません。
- 膝のすぐ裏を避け、太ももの筋肉部分を軽くなでる・やさしく揺らす程度にします。
- まずは20~30秒で終え、楽に立つ・数歩歩くなどの動作で変化をみます。
硬いボールに体重をかける必要はありません。痛みやしびれ、あざが出る刺激は避けてください。張りを感じない場合は省いて構いません。
一時的に楽になっても、筋肉が原因と確定するわけではありません。腫れや関節内部の問題を治す方法ではなく、変化がなければ長く続ける必要もありません。
② 椅子に座り、かかとを滑らせて曲げ伸ばしします
なぜ行うのか:足の重さを床で支えながら、膝を小さく曲げ伸ばしする練習です。最後まで伸ばすことを目標にせず、今の膝が楽に動く範囲を使います。
- 動かない椅子に座り、両足を床につけます。
- 片方のかかとを床につけたまま、少し前へ滑らせて膝を伸ばします。
- 膝裏が痛くなる手前で止め、足をゆっくり元の位置へ戻します。
- まずは3~5回、1日1回程度から試してください。
床が滑りにくい場合は無理に動かさず、別の方法を相談しましょう。立ち上がる際に滑る危険があるため、足元に敷いたタオルなどは片づけてから立ってください。
これは膝を力で伸ばす訓練ではありません。引っかかる、腫れが増える、鋭く痛む場合は中止してください。
③ 太もも裏だけに軽い伸びを感じるストレッチ
なぜ行うのか:太もも裏の柔軟性を保つためです。ただし、膝裏の痛みを再現する方には適していません。軽い伸びと、いつもの痛みを区別して行います。 [7]
- 仰向けになり、両膝を楽に曲げます。床への移動が難しい方は、安定したベッドで行ってください。
- 片方の太ももを少し持ち上げ、膝裏を避けて太ももの裏を両手で支えます。胸へ強く引き寄せる必要はありません。
- その位置から、膝をゆっくり少しだけ伸ばします。足首は楽にし、つま先を手前へ強く引かないでください。
- 太もも裏に軽い伸びを感じる位置で10秒ほど保ち、ゆっくり戻します。まずは1~2回から試します。
膝は曲がったままで構いません。膝裏に痛み・圧迫感が出る、しびれる、ふくらはぎまで強く引っ張られる場合は中止してください。手が届かない方も、無理な姿勢で行わず省いてください。
痛む膝裏を伸ばしきることが目的ではありません。このストレッチで痛む場合は繰り返さず、②の楽な曲げ伸ばしだけにするか、個別に相談してください。
ケアの後は、その日と翌日の反応を確認します
安全にできる立ち座りや数歩の歩行で、痛み・張り・動かしやすさを確認します。いつもの痛みを何度も再現する必要はありません。痛みや腫れが増える、歩きにくくなる、翌日まで普段以上の痛みが残る場合は、量を減らすか中止して相談してください。
歩き方と、立ち続ける時間も見直してみましょう
脚を前に出すと痛むなら、歩幅を少し小さくしてみます
大きく脚を前へ出したときに膝裏が突っ張る方は、歩幅を少し小さくし、ゆっくり歩いて変化を確かめる方法があります。
これは全員に同じ歩き方を勧めるものではありません。試しても痛い、かえって歩きにくい場合は続けず、歩行そのものを確認してもらいましょう。無理にかかとを強く着いたり、膝を最後まで伸ばそうとしたりする必要はありません。
立つときに、膝を後ろへ押し込まないようにします
立ち上がった後、膝を後ろへ反らすように押し込むと痛む方は、その最後の押し込みを避けてみてください。ただし、膝を曲げたまま一日中立つ必要もありません。
長く立つ・長く歩くと痛みが増える場合は、途中で短い休憩を挟みます。買い物の距離を分けるなど、痛みが強まる前に休める工夫を考えましょう。
症状が落ち着いた後は、膝や股関節を支える筋力の維持も大切です。マッサージやストレッチだけで終えず、状態に合う運動を段階的に取り入れます。 [4] [7]
このような場合も、受診を優先してください
- けがの後から伸ばせない、膝が引っかかって動かない。
- 歩けない・脚に体重をかけられない。
- 大きな腫れや変形、発熱を伴う赤み・熱感がある。
- 膝裏に新しい膨らみやしこりがある。
無理に揉んだり伸ばしたりせず、医療機関へ相談してください。痛みが繰り返す、悪化する、生活に支障がある場合も、自己判断でケアを続けず整形外科で確認しましょう。 [5] [6]
豊明市のHK LABOで、一緒に確認したいこと
私が確認したいのは、「膝裏のどの筋肉が硬いか」だけではありません。立ち上がり、歩いて脚を前へ出すとき、体重をかけたときなど、実際に困っている場面を伺います。
病院での診断や治療の経過を確認し、可能な範囲で膝の動きと、股関節・足首の動き、立ち方・歩き方などを見ながら、取り組めるケアや運動を考えます。診断や検査が必要と思われる場合は、医療機関への相談をお勧めします。
豊明市や大府市、名古屋市緑区などで、「膝裏が張って歩きにくい」「膝を伸ばすのが怖い」とお困りの方へ。どんな場面で痛むか、分かる範囲でお聞かせください。
膝裏が痛む場面を、ご相談ください
「立つと突っ張る」「歩いて脚を出すと痛い」など、今困っていることをそのままお伝えください。
愛知県豊明市二村台1-4-1|HK LABO
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参考資料
筋肉の構造、関連する病気、受診の目安、運動の考え方について、以下の資料を参考にしています。ケアの手順・開始量は、本記事で紹介する控えめな一例であり、各資料の運動プログラムをそのまま転載したものではありません。
- NHS:DVT(deep vein thrombosis)
- Cleveland Clinic:Hamstring Muscle
- Cleveland Clinic:Calf Muscle
- Mersey Care NHS Foundation Trust:Knee osteoarthritis
- NHS:Baker’s cyst
- NHS:Knee pain
- AAOS OrthoInfo:Knee Conditioning Program
本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や個別の治療・運動指示に代わるものではありません。